【編集長の視点】VOYAGEは続落も2Qの過去最高業績と積極的なMA&を見直し売られ過ぎ訂正余地

編集長の視点

VOYAGE GROUP<3688>(東マ)は、24円安の2282円と続落して始まっている。米Google社との連携開始をテコに年初来高値2841円まで買い進まれ、往って来いの調整となり売り買いが交錯している。ただ同社が、今年4月22日に発表した今9月期第2四半期(2Q)累計業績は、過去最高を更新しており、同時に積極的なM&Aも発表しており、同社主力のアドテクノロジー事業のシェア拡大効果などを見直し、昨年7月の新規株式公開(IPO)時の公開価格2400円割れは売られ過ぎとして底上げ期待の買い物も下値に続いている。

■スマホ向けSSP「Fluct」の高成長が続き業績を牽引

2Q累計業績は、前年同期比20%増収、14.2%営業増益、16.3%経常増益、23.3%純益増益と大幅続伸した。3カ月ごとの第1四半期(1Q)、第2四半期(2Q)とも売り上げ、営業利益、さらに配信可能な広告表示回数の合計である配信imp数が過去最高を連続更新したことが要因となった。なかでも、アドテクノロジー事業では、インターネット上でウェブサイトやアプリの広告収益の最大化を支援するSSP(サプライ・サイド・プラットフォーム)の「Fluct」が、スマートフォン向けに1Qで前年同期比98.3%増、2Qで同じく85.5%増と大きく成長したことが業績を牽引した。

一方、2Q累計決算とともに発表したM&Aは、2010年からSSP「Kauli」のサービスを開始し、データマイニングに強みを持つ独立系SSPのKauli社(東京都渋谷区)の全株式を総額14億8100万円で取得し完全子会社化したもので、国内SSP市場の売り上げシェアで圧倒的なナンバーワンを目指すとともに、両社のノウハウとサービスを融合させ事業拡大をさらに加速させる。

今9月期通期業績は、今年1月の上方修正値を据え置き、売り上げ180億円(前期比19.6%増)、営業利益23億円(同22.3%増)、経常利益23億円(同21.7%増)、純利益13億5000万円(同21.2%増)と連続の過去最高更新を見込んでいる。

■公開価格割れ、25日線から7%超のマイナスかい離は下げ過ぎ歴然

株価は、昨年7月に公開価格2400円でIPOされ、3360円で初値をつけストップ高を交えて上場来高値4335円まで買い進まれ、IPO株人気の一巡や昨年来のIPOラッシュの影響などで上場来安値2150円まで調整した。同最安値からは今期業績の上方修正に2Q好決算、Kauli社買収などが続いて2841円まで底上げ、この底上げ幅の3分の2押し水準でもみ合いを続けてきた。PERは、18倍台とネット関連株として相対的に割安で、25日移動平均線からも7.5%のマイナスかい離と下げ過ぎを示唆しており、まず公開価格を奪回し、さらに一段の底上げに進もう。(本紙編集長・浅妻昭治)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■海外展開を加速  トリドールホールディングス<3397>(東証プライム)は3月25日、カナダ・バ…
  2. ■モビリティカンパニーへの変革を加速  トヨタ自動車<7203>(東証プライム)は3月22日、20…
  3. ■イネの生育を最大4倍に  シャープ<6753>(東証プライム)は3月21日、プラズマクラスター技…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■藤田観光など上方修正済み銘柄が狙い目、決算発表前に高値予約しておくのも有効  大型連休の好調な需…
  2. ■GW市場動向と投資家心理  『目出度さも 中くらいなり おらが春』と詠んだのは小林一茶である。季…
  3. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  4. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る