IHIグループはJAXAと国際宇宙ステーション向けに開発した極低温冷凍冷蔵庫をバイオ医薬品の保管・輸送向けに応用展開

■国際宇宙ステーション向けの技術を応用

 IHI<7013>(東1)とグループ会社であるIHI物流産業システム(ILM)は、グループ会社であるIHIエアロスペース(IA)が、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と国際宇宙ステーション(ISS)向けに開発した極低温冷凍冷蔵庫「FROST2」を、バイオ医薬品の保管・輸送用に応用展開していく。FROST2は、電源に接続することで極低温冷凍冷蔵庫として使用できるほか、無電源の状態でも、ドライアイスを代替する高性能保冷剤により、庫内温度マイナス70℃以下を6時間以上維持することが可能。

 昨今の新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに,日本でも国産バイオ医薬品の開発が急速に進められている。バイオ医薬品はタンパク質や生物由来の物質から生成される医薬品で、特に原薬の保管・輸送には、タンパク質の酵素分解が停止するマイナス60℃以下での管理が求められる。従来、バイオ医薬品の保管・輸送にドライアイスが用いられてきたが、航空法により、ドライアイスの積載量に制限があるのに加え、近年、脱炭素化の影響で、ドライアイスの原料が十分に調達できず、供給量が減少しているため、新たな保管技術や輸送ニーズが高まっている。

■無電源でもマイナス70℃以下を6時間以上維持

 FROST2はISSの「きぼう」日本実験棟での、たんぱく質や細胞の保管や各実験に使用されている冷凍冷蔵庫であり、高性能保冷材と、独自の断熱材積層構造のコンテナ、また、スターリングクーラーと呼ばれる次世代型冷却器で構成されている。電源接続時、庫内温度を調整可能なことに加え、無電源の状態でも、高性能保冷剤により、マイナス70℃以下を6時間以上維持できる点が特徴。今後、ILMが得意とする自動倉庫とFROST2を応用した保冷技術を組み合わせることで、これまで実現が難しかったバイオ医薬品の原薬や中間体、細胞医薬品を大量に保管・輸送することも可能になる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■国際特許分類や元素リストを用いて多様な解決策を自動生成  AGC<5201>(東証プライム)は1…
  2. ■Newton・GR00T・Cosmosを軸にロボット研究を高速化  NVIDIA(NASDAQ:…
  3. ■700億パラメータ規模の自社LLMを金融仕様に強化、オンプレ環境で利用可能  リコー<7752>…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■鶏卵高騰・クマ被害・米政策転換、市場が注視する「3素材」  2025年11月、師走相場入りを前に…
  2. ■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服  「AIの次はバリュー株」と合唱が起こって…
  3. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  4. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  5. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  6. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る