ロームが急騰、東芝グループの東芝デバイス&ストレージとパワー半導体の国内生産能力を強化

■経済産業省の「半導体の安定供給確保のための取組に関する計画」に認定

ローム<6963>(東証プライム)は8日、223円高(8.33%高)の2899円まで上げて急騰している。同社と東芝<6502>(東証プライム)グループの東芝デバイス&ストレージは、パワー半導体に関する製造連携及び量産投資計画が、経済産業省の「半導体の安定供給確保のための取組に関する計画(供給確保計画)」として認定されたと8日に発表した。同計画は、ロームがSiC(炭化ケイ素)パワー半導体、東芝デバイス&ストレージがSi(シリコン)パワー半導体への投資を重点的に行い、相互に補完しあえる製造連携を行うものである。

 パワー半導体は、電力を供給、制御する役目を果たす半導体であり、脱炭素社会やカーボンニュートラルの実現に向けて必要不可欠である。自動車向けにおいては、電動化が急速に進む中、より高効率で小型・軽量化された電動パワートレインシステムの開発が進んでいる。また、産業機器向けにおいても、自動化・効率化の要請は強く、パワー半導体の安定供給に加えて、性能向上にも大きな期待が寄せられている。

■SiCパワー半導体とSiパワー半導体の製造連携を加速し、脱炭素社会に貢献

 ロームは、経営ビジョンに「パワーとアナログにフォーカスし、お客様の“省エネ”・“小型化”に寄与することで、社会課題を解決する」と掲げ、脱炭素に向けた取り組みを加速している。中でも省エネ化のキーデバイスとして期待されるのがSiCパワー半導体である。世界で初めてSiC MOSFETの量産を開始して以来、常に業界をリードする技術開発を進めており、最新の第4世代SiC MOSFETは、数多くの電気自動車や産業機器等への採用が予定されている。また、急拡大するSiC需要に応えるため、生産能力増強に積極的かつ継続的な投資を計画する等、重点事業の一つとして取り組んでいる。

 一方、東芝グループは経営理念に「人と、地球の、明日のために。」と掲げ、「カーボンニュートラル」と「サーキュラーエコノミー」の実現をめざしている。東芝デバイス&ストレージは、車載、産業向けを中心にSiパワー半導体を長年供給し、あらゆる電気機器の省エネ化・小型化に貢献してきた。昨年より300mmウエハを用いた生産を開始するとともに、引き続き旺盛な需要に応えるべくさらなる生産能力増強に取り組んでいる。また、SiCパワー半導体についても研究開発を加速しており、鉄道向けで培ったノウハウを活用することによって、車載や送配電分野などに向けた製品ラインアップ拡充に努めている。

 今後は、当該計画に則り、ロームがSiCパワー半導体、東芝デバイス&ストレージがSiパワー半導体への投資を重点的に行い、相互に補完しあえる製造連携を加速することで、両社の国際的な競争力向上を目指すとともに、国内サプライチェーンの強靭化にも貢献していくとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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