【編集長の視点】森永乳業は連日の分割権利落ち高値、2期ぶりの最高純益大幅更新を手掛かりにバリュー株買い

 森永乳業<2264>(東証プライム)は、前日10日に49円高の2922.5円と7営業日続伸して引け、昨年11月30日を基準日に実施した株式分割の権利落ち高値を連日、更新した。昨年10月26日に上方修正された今2024年3月期業績の純利益が、V字回復し2期ぶりに過去最高を大幅更新することを手掛かりにバリュー株買いが増勢となった。東証プライム市場の低PERランキングの第8位にランクインしていることや、新年2024年相場のサブテーマに浮上している親子上場解消の関連株の一角を占めることもフォローの材料視とされている。

■価格改定効果で上方修正し工場跡地譲渡益650億円も寄与

 同社の今3月期通期業績は、売り上げは期初予想を据え置き5500億円(前期比4.6%増)としたが、営業利益は70億円、経常利益は74億円、純利益は40億円それぞれ引き上げられ営業利益270億円(同12.8%増)、経常利益280億円(同11.0%増)、純利益617億円(同3.65倍)と見込んだ。生乳価格や物流費の上昇などのコスト上昇要因があったが、価格改定でカバーし猛暑効果や新製品の機能性ヨーグルト「マウントレーニア」などの拡販が加わったことが寄与した。純利益は、東京工場の跡地を譲渡し、今期第1四半期(2023年4月~6月期、1Q)に650億円の特別利益を計上したことでV字回復し、2022年3月期の過去最高(337億8200万円)を大幅に更新する。

 また業績の上方修正と並行して株主還元策を相次いで打ち出し、自己株式取得・消却のほか昨年11月末実施の1株を2株に分割する株式分割、今期配当の年間配当の増配(100円、分割権利落ち後50円)、株主優待制度の拡充なども公表した。また東証は、親子上場している上場会社にその意義の説明責任を求めるガバナンス向上策を進めており、親会社の森永製菓<2201>(東証プライム)とともに、この関連株の一角に位置することも、今後の株価材料となる可能性がある。

■PER4倍とプライム市場の低PERランキングの第8位に位置し上値追いに弾み

 株価は、価格改定や新製品、四半期決算の発表のたびごとに高値反応し、今期1Q純利益のV字回復では昨年来高値6055円と買われ、昨年10月の業績上方修正では5964円の戻り高値をつけ5449円で分割権利を落とした。分割権利落ち後は、理論価格を上回る2840円高値と買われたあと落ち後安値2591円まで調整し、分割権利落ち後高値追いとなった。それでもPERは4.18倍台と東証プライム市場の低PERランキングの第8位と割安であり、一段の上値追いに弾みをつけよう。(情報提供:日本インタビュ新聞・株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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