【編集長の視点】日本エム・ディ・エムは大型股関節製品のFDA承認取得を手掛かりに業績期待を高め下値抵抗力

■人工股関節から手術支援ロボットまで次期業績への寄与に期待

 日本エム・ディ・エム<7600>(東証プライム)は、今年3月29日に直近高値783円まで買い進まれており、目先の利益を確定する売り物が続いている。ただ取引時間中には715円と買われる場面があり、25日移動平均線を下回る水準では下値抵抗力も発揮している。今年3月19日に人工股関節の新製品が、遅延していたFDA(米国食品医薬品局)の承認を取得したことを発表しており、これを見直して来期業績への寄与期待を強め下げ過ぎ修正買いが交錯した。同社は、このほか人工膝関節の新製品の販売開始や新型手術支援ロボットの導入なども相次いでおり、今年4月30日に予定されている3月期決算発表時の次期2025年3月期の業績ガイダンスが、注目されている。

■人工膝関節製品や膝関節早期治療製品、手術支援ロボットなども目白押し

 同社の目下集計中の2024年3月期業績は、昨年10月に期初予想が修正され、売り上げは上方修正され236億円(前々期比10.8%増)と続伸するが、利益は下方修正され営業利益18億円(同11.1%減)、経常利益18億5000万円(同9.5%減)、純利益11億5000万円(同19.2%減)と連続減益が見込まれた。国内売り上げは、2022年4月に実施された償還価格引き下げの影響が続き、米国の売り上げも、為替レートを期初の1ドル=135円から150円へ円安・ドル高方向へ見直してドルベースで減少し、売り上げ原価が悪化し、さらに人工膝関節の新製品「Trivicta Hip Stem」のFDA承認取得が遅延したことも響いた。

 その「Trivicta Hip Stem」は、3月19日にFDA承認取得を発表して今2025年3月期第1四半期から限定販売を開始する。また人工膝関節製品「Balanced Knee System Uni」も2024年3月から販売を開始し、中国製造の「Balanced Knee System」も薬事承認を承認して中国販売を開始したほか、再生医療分野の膝関節早期治療製品「PRF-FD」、新型手術支援ロボットなどの新製品、新ソリューションの寄与も期待される。次期2025年3月期業績の動向が注目されるところで、4月30日の3月期決算発表時の業績ガイダンスが要マークとなる。

■25日線出没の保ち合いからPBR0.7倍の修正で昨年5月高値を目指す

 株価は、四半期決算発表時の業績伸び悩みと新製品の販売が綱引きとなり、今年1月の業績下方修正では年初来安値654円まで調整したが人工股関節のFDA承認では783円と高値反応し、足元では25日移動平均線水準の700円台を出没する保ち合いを続けている。2024年3月期推定ベースのPERは16.0倍と東証プライム市場の全銘柄平均をやや下回り、PBRに至っては0.79倍と下げ過ぎを示唆しており、今年3月高値783円を通過点に年初来高値791円を上抜き、昨年5月高値1153円を目指そう。(情報提供:日本インタビュ新聞・株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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