介護業界が危機的な状況に!上半期倒産95件で過去最多、人手不足深刻化

■人手不足とコスト増が経営を圧迫、小・零細事業者の行き詰まりが顕著に

 東京商工リサーチが発表した2024年度上半期(4-9月)の介護事業者倒産が95件と過去最多を記録した。業種別では「訪問介護」が46件と最多で、ヘルパー不足の長期化や高齢化の進行、コロナ禍の影響による業績悪化、運営コストの上昇が主な要因となっている。また、2024年度の介護報酬改定で基本報酬が引き下げられたことも、事業継続を断念する要因となった可能性がある。

■訪問介護を中心に中小零細事業者が打撃、年間170件超えも

 倒産の原因別では、販売不振(売上不振)が67件(構成比70.5%)と最も多く、形態別では破産が91件(同95.7%)を占めた。資本金1,000万円未満が83件(同87.3%)、従業員10人未満が81件(同85.2%)、負債総額1億円未満が77件(同81.0%)と、小・零細事業者の倒産が目立つ。2024年の介護事業者の倒産は9月までに132件に達し、このペースで推移すると年間170件を超える見込みである。

 高齢化社会において介護事業者の重要性は増しているが、賃上げに乗り遅れた事業者は人材確保が困難になっている。また、介護報酬が公定価格のため価格転嫁が難しく、経営改善が進んでいない。小・零細事業者が多い業界特性を考慮すると、国などによる効率化や人材獲得の支援が不可欠である。支援が不十分な場合、倒産増がさらに加速する可能性が高く、業界全体の危機的状況が続いている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■全従業員にAI活用徹底、業務改革を本格化  LINEヤフー<4689>(東証プライム)は7月14…
  2. ■50年以上親しまれたかぜ薬が国内市場から姿を消す?  大正製薬は7月14日、塗るかぜ薬「ヴイック…
  3. ■鈴鹿8耐で新型CBコンセプト登場  ホンダ<7267>(東証プライム)は7月11日、大型ロードス…
2025年9月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■01銘柄:往年の主力株が再評価、低PER・PBRで買い候補に  今週の当コラムでは、買い遅れカバ…
  2. ■日米同時最高値への買い遅れは「TOPIXコア30」と「01銘柄」の出遅れ株でカバー  日米同時最…
  3. ■東京株、NYダウ反落と首相辞任で先行き不透明  東京株式市場は米国雇用統計の弱含みでNYダウが反…
  4. ■株式分割銘柄:62社に拡大、投資単位引き下げで流動性向上  選り取り見取りで目移りがしそうだ。今…
  5. ■金先物相場を背景に産金株が収益拡大の余地を示す  東京市場では金価格の上昇を背景に産金株が年初来…
  6. ■大統領の交渉術が金融市場を左右し投資家心理に波及  米国のトランプ大統領は、ギリシャ神話に登場す…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る