【マーケットセンサー】「トランプ・リスク」と「トランプ・トレード」の行方

■側近重視の「お友達内閣」再来か:トランプ政権の人事戦略

 トランプ次期大統領は、政権の要職に側近や支持者を次々と起用している。この「論功行賞」的な人事は、日本の第一次安倍内閣で「お友達内閣」と呼ばれた構図を彷彿とさせる。一強政治の懸念が囁かれた当時と同様、トランプ政権にも「トランプ・リスク」が浮上している。多国間交渉より二国間取引を重視し、予測不可能な手法で進められる政策の一方的な人事には、市場や国際社会の不安が高まっている。

 大統領選後、金融市場では「トランプ・トレード」と呼ばれる動きが加速した。一方で、インフレ再燃や関税引き上げといったリスクが懸念される中、米国の長期金利は上昇に転じ、日米金利差の拡大が円安・ドル高を急速に進めた。米国株式市場では銀行株が急騰し、東京市場でもメガバンク株が業績上方修正で値を上げた例が目立つ。一方で、この好調さが持続するかには疑問も残る。

 長期金利上昇による関連株の動きが落ち着くと、次なる株価上昇の材料として円安の影響が注目されている。特に自動車株は売られ過ぎた状態から再び勢いを取り戻す兆しがある。しかし、トランプ次期大統領が関税引き上げを公約していることから、自動車産業の先行きには不透明感が付きまとう。市場は「トランプ・トレード」の次なる展開に目を凝らしつつ、慎重な姿勢を求められる局面だ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■金融・医療・公共分野に特化した高精度処理、低コストで安全運用可能  NTT<9432>(東証プラ…
  2. ■ジャイアンツ球場隣接の221邸、シニアの健康・交流を支える新拠点に  フージャースホールディング…
  3. ■IT・スタートアップ中心に若手CEO台頭、経営のスピード化が進展  帝国データバンクは10月14…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■鶏卵高騰・クマ被害・米政策転換、市場が注視する「3素材」  2025年11月、師走相場入りを前に…
  2. ■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服  「AIの次はバリュー株」と合唱が起こって…
  3. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  4. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  5. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  6. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る