【注目銘柄】松田産業は金先物価格の目先下値確認を期待し業績上方修正を手掛かりに続伸

■PER・PBRともに割安水準、年初来高値奪回に期待

 松田産業<7456>(東証プライム)は、前日18日に5円高の2965円と続伸して引け、取引時間中には3025円と上値を伸ばす場面もあった。同社株は、11月12日の今2025年3月期第2四半期(2024年4月~9月期、2Q)累計決算の発表に先立ち、11月5日に貴金属価格の上昇効果で2Q累計業績と3月期通期業績を上方修正したが、これと並行してニューヨーク商品取引所の金先物価格が、史上最高値からの調整を強めたことが響き目先の利益を確定する売り物が増勢となった。ただその金先物価格は、前週末15日に最高値から231ドル安と下落しており、目先の下値確認も近いとする打診買いが下値に続いた。また、業績上方修正自体も、下期業績は期初予想の据え置きと保守的に見込んでおり、金先物価格の動向次第では、今期業績の再上ぶれの可能性もあるとして注目されている。

■最高値からの日柄・値幅調整が進展し地政学リスク懸念も潜在

 同社の今3月期業績は、期初予想より売り上げを600億円、営業利益を17億円、経常利益を15億円、純利益を11億5000万円それぞれ引き上げ、売り上げ4400億円(前期比22.0%増)、経常利益125億円(同18.4%増)、純利益87億5000万円(同20.0%増)と見込み、増益転換率を拡大する。貴金属関連事業では宝飾分野が好調に推移し、主力の電子デバイス分野では生産回復が想定を下回り貴金属リサイクル事業の製品販売数量は厳しい状況が続いたが、金、銀の貴金属相場上昇に伴って販売価格が上昇したことが要因となった。

 ただこの貴金属相場の下期の動向は不透明として、今期下期業績は期初予想の据え置きとして、2Q累計業績の上方修正幅だけを下期業績に上乗せするだけにとどめた。その金先物価格は、10月30日の取引時間中につけた史上最高値1トロイオンス=2801.8ドルから長期金利の上昇が響き、前週末15日に2570.1ドルまで大きく調整した。トランプ次期大統領の関税引き上げ、規制緩和などによるインフレ再燃懸念が長期金利の上昇要因になっており、なおアゲインストだが、最高値からの調整が日柄で約半月、値幅で8%超安と調整が進展し、さらにトランプ次期大統領の「米国第一主義」による地政学リスクも、先行きの懸念材料として潜在していることから、目先の下値確認は近いとの見方も出てきている。

■PER8倍、PBR0.8倍の下げ過ぎ修正で年初来高値奪回に再トライ

 株価は、今年8月の日経平均株価が過去最大の下落幅となる急落相場に巻き込まれてつけた年初来安値2300円から、今期第1四半期の好調決算に金先物価格の上昇も連動して年初来高値3315円へ上値を伸ばした。同高値後は、3200円台を固める動きを続けたが、金先物価格の下落とともに2945円まで売られ調整色を強めた。PERは8.7倍、PBRは0.84倍と売られ過ぎを示唆しており、年初来高値奪回に再トライしよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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