【注目銘柄】九電工は昨年来安値から小幅続伸、今期業績の上方修正と増配を見直し割安内需株買い

注目銘柄

 九電工<1959>(東証プライム)は、前日6日に3円高の4853円と小幅ながら続伸して引け、取引時間中には4906円と買われる場面もあり今年2月5日に突っ込んだ昨年来安値4788円からの底上げを窺った。同社株は、今年1月31日に今2025年3月期業績の上方修正と増配を発表し、上方修正業績が、市場コンセンサスを下回るとして失望売りを浴びていたが、売り一巡から今期純利益が連続して過去最高を更新することを手掛かりに内需割安株買いが増勢となった。今年10月には36年ぶりに社名(商号)を変更し、新社名を今年4月に発表予定にあることも、同社の事業構造改革を象徴するとして側面支援材料視されている。

■半導体工場など過去最大規模の手持ち工事の工事利益率が向上

 同社の今3月期業績は、売り上げが期初予想より300億円引き下げられたが、逆に営業利益を45億円、経常利益を40億円、純利益を20億円それぞれ引き上げ、売り上げ4700億円(前期比0.2%増)、営業利益440億円(同15.7%増)、経常利益470億円(同10.9%増)、純利益310億円(同10.6%増)と見込んで続伸幅を伸ばし、純利益は、前期の過去最高(28億700万円)を連続更新する。売り上げは、大型太陽光発電工事の受注伸び悩みの影響で今期第3四半期(2024年4月~12月期)の受注高が、前年同期比2.7%減となり、工事進捗率も想定を下回り期初予想から引き下げられたが、九州エリアで急ピッチで進んでいる半導体工場や物流施設、データセンター、都市再開発の設備投資を背景に過去最大規模の手持ち工事の工事利益率が、向上したことが増益拡大要因となった。業績上方修正に伴い期末配当を期初予想の65円から75円に引き上げ、年間配当を140円(前期実績120円)と連続増配幅の拡大を予定している。

 なお社名変更は、1944年に「九州電気工事」として創立され、1989年に「九電工」に変更されているが、すでに筆頭株主の九州電力<9508>(東証プライム)向けの売り上げ比率は10%超程度で、九州エリア以外の売り上げが全体の3割を占めるまでになっており、昨年12月に創業80周年を迎えたことからこの業績実態にマッチすることを目指し、今年4月に策定中の新規中期経営計画とともに新社名を発表予定であり注目される。

■約6%マイナスかい離の25日線奪回から上場来高値調整幅の3分の1戻し目指す

 株価は、熊本市で建設が進められているTSMC(台湾積体電路製造)の半導体工場の関連株の一角として昨年4月に上場来高値7139円まで買われる場面があったが、その後の3月期本決算、四半期決算の発表では、増収増益は維持するものの期待を下回るとして下値を探り、今年1月31日の今期業績の上方修正・増配でも昨年来安値4788円と売られた。PERは11.0倍、25日移動平均線からも5.9%の下方かい離と売られ過ぎを示唆している。まず25日線水準の5100円台回復から上場来高値から昨年来安値への下落幅の3分の1戻しの5500円を目指そう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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