
■政府機関・企業を守る純国産の防御体制を共同構築
KDDI<9433>(東証プライム)とNEC(日本電気)<6701>(東証プライム)は5月8日、国内のサイバー脅威の高まりを受け、純国産の強固なセキュリティ基盤の構築に向けて基本合意書を締結したと発表。目的は、日本企業や政府機関の重要な情報資産・インフラを守るとともに、安全な事業・行政運営を支援することである。両社の協業により、専門人材数と売上規模で国内最大を目指すサイバーセキュリティ事業の展開が進められる。KDDIの「WAKONX」とNECの「BluStellar」という両社独自のビジネスプラットフォームを軸に、サイバーセキュリティ分野での新たな価値創出が見込まれる。
昨今、日本国内では地政学リスクの高まりにより、ランサムウェアをはじめとするサイバー攻撃の手法が高度化している。企業の業務停止や情報漏洩による信頼性の低下が市民生活にも影響を及ぼしており、政府は経済安全保障推進法に基づき、基幹インフラの保護を民間にも求めている。こうした状況を受け、KDDIとNECは協業体制を整えることで、国内全体のセキュリティ水準を底上げし、リスクの低減を図る。
両社は今後、2つの主要施策を進める。第一に、AIと蓄積データを活用し、攻撃の兆候を検知・分析するインテリジェンス駆動型サイバーセキュリティの強化を図る。第二に、ラックやNECの海外拠点のノウハウ、KDDIの「Telehouse」などのグローバル資産を活用し、日本企業の海外拠点を含めた広域的なセキュリティ監視体制を構築する。両社のアセットとして、ラックの「JSOC」やNECの「Cyber Intelligence & Operation Center」が活用され、サイバー防御の実効性向上が期待されている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)