マーケットエンタープライズ、坂戸市と官民連携で空き家対策実証実験へ

■環境省「令和7年度 使用済製品等のリユースに関するモデル実証事業」に採択

 埼玉県坂戸市(市長:石川 清)とマーケットエンタープライズ<3135>(東証プライム)は7月25日、地域社会における課題解決を目的としたリユース事業の実証実験を実施すると発表。同事業は、深刻化する空き家問題などを背景に、家財整理における市民の負担をリユース活用により軽減することを目指すものだ。マーケットエンタープライズのリユースに関するノウハウを活用し、坂戸市の行政サービス向上を図るとともに、不要品の売却と廃棄物の処分をワンストップで実現する新たな仕組みの構築を目指す。なお、同取り組みは坂戸市が申請し、2025年7月7日付で環境省により「令和7年度 使用済製品等のリユースに関するモデル実証事業」に採択された。

■背景・経緯

 坂戸市では、住宅総数約52,000戸のうち14%にあたる約7,000戸が空き家・空き室となっており、埼玉県平均や全国平均を上回る比率となっている。また、高齢化の進行により、高齢者のみの世帯が全体の2割を超えており、今後も空き家の増加が見込まれる。

 こうした状況下で、坂戸市では空き家の売却や「終活」に伴う生前整理への関心が高まっている。しかし、生前整理や空き家処分の場面では、リユース可能な品は古物商許可を持つ事業者へ、不要品は一般廃棄物収集運搬許可を持つ事業者へと、市民がそれぞれに連絡・依頼する必要があった。手続きの煩雑さや高額な費用負担、事業者選定の難しさが家財整理の妨げとなり、空き家放置の一因となっていた。さらに、古物商許可のみの事業者が廃棄物を収集運搬する行為も法令違反であり、問題視されている。

 坂戸市とマーケットエンタープライズは、これまでもリユース推進における連携を深めてきた。令和4年度には、同社が運営するリユースプラットフォーム「おいくら」を活用した不要品リユース事業を共同で開始し、環境省のモデル事業にも採択された実績を持つ。今回の新たなモデル事業は、こうした連携の信頼関係を基盤に、より踏み込んだ課題解決を図るものである。

■目的

 同実証事業の目的は、生前整理や空き家処分に伴う家財整理において、市民が抱える「手間の多さ」や「高額な費用負担」といった課題の解消にある。加えて、これまで廃棄されていた可能性のあるリユース品の発掘と循環を促すことで、ごみの削減と循環型社会の形成に貢献し、家財整理に伴う諸課題の解決を目指す。同実証により、リユース品の査定・売却と廃棄物処理の窓口を集約し、複数事業者への連絡負担を解消する。さらに、利用可能な家財のリユースによって売却益を得ることで、費用負担の軽減にもつなげる。同事業は、空き家処分の利便性を高めるとともに、市民が安心してリユースと廃棄を一括で任せられる仕組みの実現性を検証する。

■今後について

 同実証事業は、令和7年9月から12月にかけて訪問回収を実施し、回収量や利用者アンケート結果をもとに効果を検証する予定である。坂戸市は同事業の成果を踏まえ、令和8年度以降に「空き家や遺品整理、生前の身辺整理等に限定した一般廃棄物の収集運搬許可制度」の新設を目指す。これにより、モデル事業終了後もマーケットエンタープライズなどの事業者が継続的にサービスを提供できる環境を整備し、行政財政への負担なく、市民の利便性向上とリユース推進を持続可能な形で実現していく。

■埼玉県坂戸市

 坂戸市は埼玉県のほぼ中央に位置し、地勢は概ね平坦で、秩父山系からの清流・高麗川が南西から東へ流れている。毎年10月に開催される「坂戸よさこい」は県内有数のよさこい祭りとして知られ、北浅羽桜堤公園の安行寒桜は毎年3月上旬から中旬にかけて1.2キロメートルにわたり淡紅色の花を咲かせ、多くの人々を楽しませている。また、2025年2月12日には声優・梶裕貴氏が「坂戸ふるさと大使」に就任し、市内外から注目を集めている。

・人口:99,690人(男49,609人・女50,081人)(2025年7月1日)
・世帯数:49,330戸(2025年7月1日)
・面積:41.02平方キロメートル(2025年4月1日)
(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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