
■日本の石文化と神話を結ぶ新たな鉱物学的成果
リガク・ホールディングス<268A>(東証プライム)は8月7日、国石であるヒスイから新鉱物「アマテラス石」が発見され、国際鉱物学連合により新種鉱物として正式承認されたことを発表した。発見にあたったのは、東京大学や山口大学などの研究者とアマチュア鉱物研究家を含む共同研究チームである。アマテラス石は日本神話に登場する天照大神に由来して命名され、学名は「Amaterasuite」とされた。
アマテラス石は、岡山県大佐山地域で採取されたヒスイに含まれていたもので、ストロンチウム(Sr)やチタン(Ti)を主成分とし、これまでの鉱物とは異なる化学組成と結晶構造を有している。特に、2種類の異なる構造要素を単位胞内に持つという二面性を示す結晶構造が特徴で、これは理論的には予測されていたが、実際に観察されたのは初めてである。
この新鉱物の発見は、ヒスイの成因や進化に関する理解を深める新たな知見を提供するものであり、地球内部の特殊な地質環境を示唆する証拠ともなる。また、結晶構造の分析には、大型放射光施設SPring-8や山口大学所有のリガク製構造解析装置が活用され、高精度な結晶構造の決定が行われた。研究成果は日本鉱物科学会の学術誌に掲載された。
命名には、鉱物の二面性と天照大神が持つ「荒魂」と「和魂」の両面性が重ね合わされており、日本の石文化への敬意が込められている。アマテラス石は、鉱物学、地質学、結晶学など多方面にわたり学術的意義を持つ存在として注目されている。今後の研究においても、新たな地質環境や鉱物形成メカニズムの解明に寄与することが期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)