【どう見るこの相場】AI株調整でバリュー株に資金流入、年末相場は選別色強まる

■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服

 「AIの次はバリュー株」と合唱が起こっているようである。飛ぶ鳥をも落とす勢いだったAI(人工知能)株が、高値波乱を続け変調推移しているからだ。日経平均株価を5万2638円の史上最高値に押し上げたのがソフトバンクグループ<9984>(東証プライム)やアドバンテスト<6857>(東証プライム)などのAI関連の巨大テック株なら、前週に相次いで日経平均株価を押し下げたのも同じ巨大テック株で、その賞味期限が一巡して投資家の鉾先がバリュー株に移行するというのである。

■AI過剰投資懸念でテック株調整も、「やっぱりAI」相場継続の可能性

 これは東京市場だけではなく米国市場で先行している相場展開で、相次いでいる巨大テック株の何兆円のものぼるAIインフラ投資が、十分にペイするか過剰投資懸念を呼んでいることが要因となっている。米国のメガバンクの首脳が、AI株の20%の調整を警告したとも伝えられている。

 しかしだからといって「AIの次はバリュー株」を軽々に信じていいのかやや躊躇せざるを得ないのが投資家心理というものである。確かにヘッジフアンドの「45日ルール」による解約期限が11月15日から始まり、解約の備えた換金売りなどAI株が厳しい需給状況に追い込まれることも想定される。ただ高市内閣が、成長戦略としてAI、半導体、核融合などを支援する危機管理投資はこれから本番を迎えることもある。また「バリュー株」投資のよりどころは、折から佳境を迎えている決算発表だが、これが業績を上方修正したのにストップ安と売られるケースもあるなど、バリュー株投資の手掛かりを喪失するケースまである。米国市場の動向次第では結局、「AIの次はやっぱりAI」も想定したくてはならないかもしれないのである。

■鳥インフル再拡大で鶏卵価格が上昇、関連銘柄に業績期待

 そこで今週の当コラムでは、師走相場への方向性がまだ不確かななか、この圏外に位置して独自の相場展開が期待されるアップデートな材料株に注目することにした。「タマゴ・クマ・コメ」関連株である。「タマゴ」は、今年10月21日以降、高原性鳥インフルエンザの感染が国内で3例確認され鶏卵相場が値上りし、2023年の「エッグショック」や価格高騰によるエッグフレーション」の再現が懸念され関連株への業績押し上げ効果が期待されているのである。

■クマ出没被害で駆除・安全対策関連株が新テーマに

 「クマ」は、全国各地で過去最多の犠牲者が出ているクマである。生息地で餌となるブナの実が大凶作となり人里、市街地にまでクマが出没して被害を広げており、市街地でも自治体の判断により猟銃を発砲できる「緊急猟銃」の運用され、自衛隊の派遣に続き警察庁は、ライフル銃によるクマの駆除に乗り出した。冬眠しないクマがいるがどクマそのものの生態の変化も指摘され、クマ駆除は、今シーズンのみでなく来シーズンにまで続くテーマ株になる可能性がある。

■コメ価格高止まりの中、業績上方修正銘柄が急落し波紋

 「コメ」は、やや複雑で一筋縄ではいかない。とういのも前週6日に今期業績3回目の上方修正と増配を発表したコメ卸の木徳神糧<2700>(東証スタンダード)はストップ安と売られ、同じく7日に2回目の業績上方修正を発表したヤマタネ<9305>(東証プライム)も、4%超の急落をしたからだ。上方修正した業績が市場予想を下回ってとして急落したものだが、それにしてもストップ安は、ネガティブ・サプライズである。というのも、足元のコメ価格は、5キロ=4200円台と高値に張り付いたままで、高市内閣の農水大臣に就任した鈴木憲和大臣は、前任の小泉進次郎大臣のコメ増産政策から2026年産米の減産方針を打ち出している。「令和の米騒動」の火種が残ったことになる。木徳神糧、ヤマタネとも売られ過ぎで、関連株に材料株人気が再燃する可能性も示唆する。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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