大塚HD、IgA腎症向け新薬「シベプレンリマブ」有効性を確認、新抗体薬でタンパク尿5割減

■米国腎臓学会でフェーズ3試験結果公表、腎機能改善を裏付け

 大塚ホールディングス<4578>(東証プライム)は11月10日8時30分、100%子会社の大塚製薬が開発中の新規APRIL抗体「シベプレンリマブ(一般名)」について、IgA腎症を対象としたフェーズ3試験(VISIONARY試験)の投与後12ヵ月時点における中間解析結果を米国腎臓学会(ASN)年次総会で発表したと公表した。結果は米国医学誌「The New England Journal of Medicine」にも掲載された。同社は2025年12月期の連結業績予想を据え置いている。

 同試験では、シベプレンリマブ投与群において尿蛋白/クレアチニン比(uPCR)がベースライン比で56.6%減少し、プラセボ調整後では54.3%の減少を示した。安全性プロファイルはプラセボ群と同等で、有害事象の発生率はシベプレンリマブ群74.1%、プラセボ群82.1%とほぼ同水準であった。主な副作用は上気道感染症と鼻咽頭炎で、いずれも軽度から中等度にとどまった。タンパク尿の減少は腎機能悪化遅延と相関する指標とされ、同剤の臨床的有効性を裏付ける結果となった。

 シベプレンリマブはAPRIL(増殖誘導リガンド)を選択的に阻害し、糖鎖欠損IgA1の産生を抑制する機序を持つ。4週ごとに自己投与可能な皮下投与型プレフィルドシリンジ製剤として設計され、在宅治療を可能にする利便性を提供する。米国食品医薬品局(FDA)から優先審査指定を受けており、審査終了目標日は2025年11月28日。フェーズ3試験は腎機能変化を評価するため2026年まで継続予定で、IgA腎症治療における新たな選択肢として期待が高まっている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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