【築地再開発】総事業費9000億円、歴史継ぐ扇形デザインで未来都市が開業へ

■空飛ぶクルマも発着、築地に「陸・海・空」の交通拠点、国際交流の核となる未来型スタジアムも

 三井不動産<8801>(東証プライム)を代表企業とし、トヨタ不動産、読売新聞グループ本社が中心となって設立した築地まちづくり株式会社(特別目的会社)は8月22日、総事業費約9000億円を投じる「築地地区まちづくり事業」の基本計画を策定したと発表した。都有地約19ヘクタールに、大規模集客施設となるマルチスタジアムなど延べ床面積約126万平方メートルの施設群を建設し、2030年代前半以降の開業を目指す。かつて貨物列車を引き込むために扇形であった築地市場の歴史を継承し、「扇」をデザインモチーフに採用。水と緑豊かなオープンスペースと、国際競争力を高める都市機能が融合した、東京の新たなシンボルとなるまちづくりを推進する。

 同計画の核となるコンセプトは「ONE PARK×ONE TOWN」である。隅田川や浜離宮恩賜庭園といった周辺資源と一体的に緑地や広場を整備する「ONE PARK」では、舟運ネットワークの活用や水辺のオープンスペース創出を通じて「水都東京の再生」を目指す。一方、「ONE TOWN」では、銀座の文化、築地場外市場の食、新橋・汐留のビジネス、周辺の医療施設といった各エリアの特性と連携。大規模集客・交流機能、迎賓・ホスピタリティ機能、日本の食文化を発展させる機能、医療と連携したイノベーション創出機能などを導入し、都市の国際競争力強化に貢献する計画だ。この二つの概念が共生・調和し、新たな社会的価値を生み出すことが期待される。

■マルチスタジアムやMICE・ホテル・レジデンス棟、舟運・シアターホール複合棟など9棟整備

 施設の中心となるのは、多様なイベントに対応する大規模集客・交流施設(マルチスタジアム)である。これに加えて、ライフサイエンス・商業複合棟、国際会議などに対応するMICE・ホテル・レジデンス棟、舟運・シアターホール複合棟など、合計9棟の主要建物を配置する。特筆すべきは、陸・海・空のモビリティが結節する広域交通拠点の形成だ。地下鉄新駅の誘致やバス・タクシー乗り場に加え、舟運の船着き場、さらには「空飛ぶクルマ」やヘリポートといった次世代モビリティの離着陸場も整備し、国内外から訪れる人々を迎える東京の新たな玄関口としての機能を担う。

 この巨大プロジェクトは、三井不動産、トヨタ不動産、読売新聞グループ本社に加え、鹿島<1812>(東証プライム)、清水建設<1803>(東証プライム)、大成建設<1801>(東証プライム)、竹中工務店といった大手ゼネコンが建設を担い、日建設計などが設計に参画するなど、各業界の知見を結集して推進される。事業会社は、有識者や東京都、事業者で構成する「築地地区まちづくり事業マネジメント会議」での意見を踏まえ、計画を策定した。今後は公式ウェブサイトなどを通じて積極的に情報発信を行い、東京都や中央区などと連携しながら、都民や国民の理解を得て事業を進めていく方針である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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