【どう見るこの相場】政局変動と日経平均の乱高下:トランプ・ディールと総裁選が相場に臨機応変策を要求

■石破首相辞任表明後も市場は急落回避、投資家の買い意欲継続

 「一寸先」は、不確実で予測が難しい。「一寸先は闇」でもあるし「一寸先は光」であることもある。これは政界でも株界でも変わらない。つい最近の政界でも、石破茂首相が、参議院選挙で過半数割れとなって自民党内で退陣要求が強まって「一寸先は闇」となった途端に、内閣支持率が上昇する「一寸先は光」となり、臨時総裁選挙を実施するかどうか党内意思を確認する手続き中に石破首相が辞任を表明して、またまた「一寸先は闇」と暗転して、目下、5人の候補者による総裁選挙のたけなわである。一方、株界でも、石破首相の辞任表明で政局不安を懸念する相場乱高下の「一寸先は闇」を覚悟したにもかかわらず、あにはからんや日経平均株価は、4万2000円割れから急反発して上場来高値追いと「一寸先は光」への期待を高めている。

 しかしもっと「一寸先は闇」か「一寸先は光」か予測不可能なのは、「トランプ・ディール(取引)」だろう。過日9月23日の国連総会での米国のトランプ大統領の演説などは自画自賛、分断を煽って言いたい放題なのだから、かつて名優チャップリンが映画『独裁者』のなかの演説で警告した独裁者そのものを彷彿とさせた。これで民主主義の砦といわれる米国の世論のトランプ支持が続くのか、2026年11月の中間選挙が「一寸先は闇」となるか「一寸先は光」となるかベストシナリオとワーストシナリオとへの対応が怠れないとの投資判断も生じさせたはずだ。

■トランプ・ディールは追加関税と対ロシア政策転換が焦点

 目下の「一寸先は闇」か「一寸先は光」か焦点は、国内政局では10月4日開票の自民党総裁選挙の動向で、新総裁選びにサプライズがあるのか、さらにその先の臨時国会での首班指名選挙で少数与党の自民党の新総裁が次期政権を担当できるか、連立政権の枠組み拡大が功を奏するのか、あるいは政権交代の大逆転があるのかどうかなどだろう。「トランプ・ディール」も、医薬品などへの追加関税とともに、国連総会演説で示唆した対ロシア政策転換で地政学リスクが高まるのか収束するのか、ノルウェー政府とノーベル財団にプレッシャーを強めたノーベル平和賞の受賞が、この10月の受賞者決定で目出度く実現するかどうかなどと続く。

 株界は、こうした内外の「一寸先は闇」か「一寸先は光」かに揺れ動くことは必至で油断大敵である。最高値追いとなっている日経平均株価が、自民党の新総裁決定のご祝儀相場などでさらに上値を伸ばすリスクオンなのか、10月相場のアノマリー通りに小休止、あるいかショック安に見舞われるリスクオフなのか全方位の臨機応変策が不可欠となる。

■日本取引所Gが上方修正と増配、証券株も売買代金膨らませ業績寄与

 そこで今週の当コラムは、相変わらずディフェンシブで申訳ないが、「光」アプローチとして安全投資銘柄に注目することとした。金先物関連株と証券株である。ニューヨーク商品取引所の金先物価格は、9月22日に1トロオンス=3883.2ドルと最高値を更新し高値水準でもみ合っている。トランプ大統領が、FRB(米連邦準備制度理事会)のクック理事を解任し、中央銀行の独立性が侵されとしてドルの信認が揺らいだことで騰勢を強め、FRBが、9カ月ぶりに政策金利の引き下げに踏み切り金利のつかない金価格に相対的に有利となったことと地政学リスクに備える安全投資が押し上げ材料となった。

 一方、証券株は、日経平均株価の最高値追いとともに売買代金を膨らませて業績を押し上げ、先行した日本取引所グループ<8697>(東証プライム)は、前週24日に今3月期業績の上方修正と増配を発表した。証券株は、市況産業株として業績の先行きを見通すことは困難として業績ガイダンスを開示せず予想PERの算出は不可能だが、前週26日に中間配当の権利を落とした配当利回りはランキング上位を占めている。また相場全般がリスクオンとリスクオフが交錯すればさらに売買代金が膨らみ、このメリットが拡大する可能性もある。両セクター株に「一寸先は光」の期待を高めてディフェンシブ対応も一考余地がありそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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