
■「ドロモビでプログラミングをはじめよう」、論理的思考と工学の楽しさを体験
京都大学は10月16日、スズキ<7269>(東証プライム)と共同で小学生向けプログラミング教材「ドロモビでプログラミングをはじめよう」を開発し、無償提供を開始した。京都大学工学研究科の廣谷潤准教授と教育学研究科の西岡加名恵教授らが中心となり、公益財団法人スズキ財団の助成を経て共同開発に至った。2020年度から小学校で必修化されたプログラミング教育の現場では、使いやすい教材が不足しており、同取り組みはその課題を補う狙いがある。廣谷准教授は理系人材減少への危機感から、早期教育の充実を提唱しており、スズキも理念に共感して共同開発に参加した。
教材は、紙と筆記用具、児童の所有する端末があればすぐに使用できる設計とし、三つの特徴を備える。第一に、低コストで導入可能なシンプルな構成。第二に、論理的思考力と工学への興味を自然に引き出す学習設計。第三に、授業外でも家庭や友人と楽しめる拡張性である。教材を通じて、子どもたちがプログラミング的思考を体験的に学び、問題解決力を伸ばすことを狙うとともに、教育現場が抱える教材不足の解決にも寄与することが期待される。
使用方法は、児童がプリント上の命令ブロックに鉛筆で指示を書き込み、タブレットやパソコンからスズキの開発したWebアプリ「ドロモビ」でプリントを撮影する。画像処理とOCR技術により手書きの命令を読み取り、デジタルデータとして解析した後、画面上のキャラクターや車が動く仕組みで、結果を即時確認できる。教材は授業資料、練習プリント、記入プリント、使い方動画などで構成され、学習目安は45分、無償で提供される。京都大学は今後、協力校で教育効果の検証を進め、スズキは使いやすさ向上と改良を重ねる方針である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)