IHI、英国SSTLと地球観測衛星コンステレーションで協力、日英防衛協力の深化

■衛星データ共有で国家安全保障と宇宙産業発展を推進

 IHI<7013>(東証プライム)は9月8日、英国の小型衛星メーカーであるサリー・サテライト・テクノロジー・リミテッド(SSTL)と、日本の情報収集・監視・偵察(ISR)能力を強化する地球観測衛星コンステレーション構築に関して協力することで合意したと発表した。署名式は9月10日にロンドンで開催される防衛展示会「DSEI UK」で行われる予定であり、日英両国の防衛分野協力の深化を象徴する取り組みとなる。SSTLは1985年に設立され、小型衛星の分野で世界的に実績を積んでおり、英国防省向けの衛星開発や複数の国家プロジェクトに関与してきた。

 今回の協力は、SSTLが持つ軌道上運用の知見や衛星バスの技術を活用し、IHIが推進する日本のコンステレーション計画に適用することを目的とする。両社はそれぞれが保有する衛星データや撮像キャパシティを相互に共有し、日本の安全保障とレジリエンスを高めると同時に宇宙産業の発展を促す方針である。併せて、2023年の「広島アコード」や2025年8月の日英防衛相会談などを通じて合意された宇宙・防衛分野での協力強化とも連動し、日英両国の連携を一層進展させることになる。

 IHIは既にフィンランドのICEYEと協力し、最大24基の合成開口レーダー(SAR)衛星を整備する計画を進めており、今回のSSTLとの合意も含め、光学、SAR、電波収集、赤外線など多様な衛星を組み合わせた包括的なコンステレーション構築を視野に入れている。同社は、国家安全保障と国際的な協力体制の中核を担う宇宙基盤の整備を通じて、日本の戦略的利益に資することを目指している。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■歯周病の進行抑制に向け、老廃物除去と免疫調整の2軸で研究  ライオン<4912>(東証プライム)…
  2. ■バリア性能と印刷適性を両立、2030年までに10億円売上目指す  大日本印刷<7912>(東証プ…
  3. ■胃がん・大腸がん対策で「Train the Trainerプログラム」を展開  オリンパス<77…
2025年9月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■東京株、NYダウ反落と首相辞任で先行き不透明  東京株式市場は米国雇用統計の弱含みでNYダウが反…
  2. ■株式分割銘柄:62社に拡大、投資単位引き下げで流動性向上  選り取り見取りで目移りがしそうだ。今…
  3. ■金先物相場を背景に産金株が収益拡大の余地を示す  東京市場では金価格の上昇を背景に産金株が年初来…
  4. ■大統領の交渉術が金融市場を左右し投資家心理に波及  米国のトランプ大統領は、ギリシャ神話に登場す…
  5. ■価格改定効果に加え9月以降の値上げで業績上乗せが期待される銘柄  今週の当コラムは、9月に価格改…
  6. ■9月1日に値上げラッシュの食品株は日銀バトルで小緩んでも株高持続性  まさに「パウエル・プット」…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る