
■太陽光不足となる月面夜間に対応、共同フィジビリティスタディを実施
ホンダ<7267>(東証プライム)の米国現地法人アメリカン・ホンダモーターは9月29日(現地時間)、米国宇宙関連企業アストロボティックと月面電力システムの共同開発契約を締結したと発表。両社は持続的な月面ミッションに対応するため、アストロボティックの垂直型太陽電池システム「VSAT」とホンダが開発中の循環型再生エネルギーシステムを組み合わせた拡張型電力供給モデルの実現に向けて、共同でフィジビリティスタディを行う。月面の昼夜サイクルを前提に、太陽光不足となる夜間でも電力を安定供給できる仕組みを検証することが狙いである。
ホンダの循環型再生エネルギーシステムは、高圧水電解と燃料電池を組み合わせ、太陽光と水から酸素・水素・電気を製造する仕組みを持つ。昼間に電気分解で製造した酸素と水素をタンクに蓄え、夜間は燃料電池で電力を供給する構造であり、長期的な月面有人活動を支える基盤技術と位置付けられている。一方、アストロボティックは月面電力網「ルナグリッド」を構想しており、その主要素であるVSATは太陽の位置に応じて角度を自動調整し、10kW級の電力を安定的に供給できる。さらに、50kW規模のVSAT-XLを開発中で、増大する電力需要に対応する計画である。
今回の共同検証では、月面南極の複数地点にVSATやVSAT-XLを設置した場合の発電量をシミュレーションし、それに応じて最適な再生エネルギーシステムの仕様やサイズを算出する。また、両社のハードウェアおよびソフトウェア統合性の検証も行い、実用化に向けた課題を洗い出す。統合システムが確立されれば、月面インフラの発展や商業利用への応用も期待され、持続的な宇宙活動に向けた一歩となる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)