スリー・ディー・マトリックス、ハーバード大学と共同研究成果が「Science」誌に掲載

■致死的不整脈を抑制、iPS細胞由来心筋移植の安全性を向上

 スリー・ディー・マトリックス<7777>(東証グロース)は10月17日、ハーバード大学との共同研究成果が国際科学誌「Science」に掲載されたと発表した。掲載論文は、同社が開発した自己組織化ペプチド「RADA16」を用いた心臓再生医療研究に関するものであり、iPS細胞由来心筋細胞移植の安全性と機能性を大きく前進させる内容となっている。従来の移植治療では、移植細胞の異常拍動に起因する致死的な不整脈(自動能)が課題であったが、RADA16の併用によりその発生を抑制することに成功した。さらに「フレキシブルナノ電極」を用いて、移植細胞が宿主心臓と電気的に同期する様子を世界で初めて高解像度で可視化した。

 同研究では、未熟な心筋細胞が胎児型遺伝子プロファイルを保持するという従来の問題にも対応した。RADA16が心筋および血管形成の成熟を加速し、心筋収縮の基盤となるサルコメア構造の整備率を向上させることを確認した。また、機能的な血管新生が宿主血管との吻合によって実証され、酸素・栄養供給系が確立された結果、細胞生存率が従来比で大幅に改善したと報告している。これらの成果は、心疾患治療を含む再生医療の実用化を加速させる基盤技術として高く評価されるものである。

 同社によると、本研究は既に支払い済みの開発枠内で実施されたものであり、現時点で通期業績および中期経営計画における収益への影響はないとしている。スリー・ディー・マトリックスは今後もハーバード大学をはじめとする国際的研究機関と連携し、再生医療分野での社会課題解決と医療価値創出に取り組む方針である。研究成果の詳細はScience誌オンライン版にて公開されている(Aoyama J.ほか “Flexible Nanoelectronics Reveal Arrhythmogenesis in Transplanted Human Cardiomyocytes”)。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■環境要因は50%、漁獲圧は25%、状態空間モデルで初の定量評価  東京大学は11月1日、日本周辺…
  2. ■ドジャース、球団史上初の2年連続制覇  ロサンゼルス・ドジャースは、2025年MLBワールドシリ…
  3. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

ピックアップ記事

  1. ■売り方手仕舞いで需給改善が後押し  師走相場では、リスクの大きい銘柄であっても、逆日歩のつく信用…
  2. ■師走相場は最終レースさながら、勝ち負け分ける「掉尾の一振」に熱視線  師走である。礼節一点張りの…
  3. ■金利環境改善が銀行株に追い風、逆張りの買いも有力視  今週の当コラムは、銀行株に注目することにし…
  4. ■「トリプル安」も怖くない!?逆張りのバリュー株ローテーションからは銀行株になお上値余地  「神風…
  5. ■気温急低下がシーズンストック相場発進を後押し  今週のコラムでは、バリュー株選好の別の買い切り口…
  6. ■「押し」のAI株より「引き」のバリュー株選好で厳冬関連株の先取り買いも一考余地  「押してだめな…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る