第一稀元素化学、レアアースを使わないジルコニア材料を開発、安定供給と高耐久・高透明を実現

■独自技術で200℃低温焼結を実現、資源リスクを抑えた持続可能な供給体制を構築

 第一稀元素化学工業<4082>(東証プライム)は10月21日、レアアースを使用せず安定供給を実現するカルシア安定化ジルコニア材料「DURAZR‐Sシリーズ」の新製品「HSY‐0774」を開発したと発表した。同社は、従来のジルコニア安定化剤として一般的だったイットリアなどのレアアースに依存しない素材開発を進めており、今回の新製品では安定化剤に酸化カルシウム(カルシア)を採用した。これにより、産出国が限られるレアアースに対する供給リスクを回避し、セラミックス製品の安定生産に貢献する構えである。

 同製品は、同社独自の「ATEDZ技術(Advanced Toughness and Easy‐sintering DKK Zirconia technology)」により、従来より約200℃低い温度(1200~1300℃)での低温焼結を可能とした。これによりカルシアを安定化剤として機能させることに成功し、レアアースを用いない高強度セラミックスを製作できるようになった。また、ジルコニウム原料も自社サプライチェーンで調達可能とし、素材供給の持続性を高めている。DURAZR‐Sシリーズは高強度・高靭性を特長とし、これまでにも低温焼結によるCO2排出削減や軽量化、絶縁性の向上を実現してきた。

 新開発の「HSY‐0774」は、耐久性と透明度を兼ね備えた特性が特徴である。水熱劣化に強く、100℃程度の環境下でも亀裂が発生しにくい高い耐久性を保持するほか、組成最適化によりセラミックス製品としての高い透明感を発現する。さらにHIP焼結(熱間等方圧加圧法)による緻密化を維持しつつ、美観性を高めることに成功している。この結果、産業用部材に加え、宝飾部品などデザイン性が求められる分野への応用も期待される。同社は2023年に同シリーズ初号機「HSY‐0480」を発売しており、今回の新製品により、半導体製造装置やEV・FCV向け部材など、幅広い市場展開を視野に入れる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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