【マーケットセンサー】「高市トレード」で株高・円安鮮明、5万円台視野に――積極財政路線が市場を刺激

■公明党との長期連立が終焉、維新との政策実行型内閣が誕生

 高市早苗氏を首班とする「高市内閣」が10月21日に正式発足した。日本初の女性首相の誕生であり、自民党と日本維新の会による新たな連立政権が始動した。これにより自民・公明の長期連立体制は幕を閉じ、政界の構図が一変した。高市内閣は「経験と刷新の融合型」を掲げ、ベテランと中堅・若手をバランスよく配置。初入閣は10人に上り、政策実行力と世代交代の両立を狙う陣容となった。女性閣僚は片山さつき財務相と小野田紀美経済安保相の2名で、いずれも保守色を保ちながら新時代を象徴する存在として注目されている。

 経済政策では「政府がマクロ経済政策の最終責任を持つ」と明言し、日銀任せにしない積極財政を打ち出した。高市首相は「物価高対策」を最優先課題に掲げ、年内の補正予算編成を指示。成長戦略の柱として「所得倍増」「技術投資促進」「防衛産業支援」を提示した。とりわけ経済産業政策では、GX(グリーントランスフォーメーション)の推進、サプライチェーン防衛、AI産業振興を重点施策とし、少子化対策やDX推進も併せて進める方針を示した。経済産業相の赤沢亮生氏、防衛相の小泉進次郎氏らが新体制の成長エンジンを担う見通しである。

 株式市場では「高市トレード」と呼ばれる株高・円安現象が鮮明となった。日経平均株価は5万円台突破が視野に入り、金融緩和継続と公共投資・減税策による景気刺激期待が強まっている。為替相場も1ドル=155円近辺まで円安が進行し、輸出関連株が恩恵を受ける一方で、輸入コスト上昇による物価圧力が懸念される。市場関係者は短期的な株価上昇を予想するが、中長期的には財政悪化や金利上昇をリスク要因として警戒する。

 高市内閣が掲げる「強い日本経済」の実現には、積極財政とインフレ抑制の両立、そして社会保障の持続性確保が不可欠とされる。女性首相誕生、維新との連立、積極財政路線という三要素が重なり、新政権は国内外の注目を集めている。新体制が短期の景気刺激を超え、構造改革と持続的成長を実現できるかが今後の焦点である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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