日本エンタープライズ、26年5月期は大幅増収増益へ、クリエーション・ソリューション事業が拡大
- 2025/10/22 07:53
- アナリスト銘柄分析

日本エンタープライズ<4829>(東証スタンダード)は、コンテンツサービスやビジネスサポートサービス等のクリエーション事業、およびシステム開発サービスや業務支援サービス等のソリューション事業を展開している。26年5月期は大幅増収増益予想としている。クリエーション事業ではコンテンツサービスやキッティング支援などの拡大、ソリューション事業ではシステム開発サービスの復調などを見込んでいる。第1四半期は広告宣伝投資や外注費の増加などにより営業赤字だったが、積極的な事業展開で収益回復を期待したい。株価は第1四半期業績を嫌気してモミ合いから下放れの形となったが、売り一巡感を強めている。出直りを期待したい。
■クリエーション事業およびソリューション事業を展開
同社はコンシューマ向けコンテンツプロバイダを起点に法人向けソリューションへと事業領域を拡大し、現在はコンテンツサービスやビジネスサポートサービス等のクリエーション事業、およびシステム開発サービスや業務支援サービス等のソリューション事業を展開している。
25年5月期のセグメント別売上高は、クリエーション事業(一般消費者向けのコンテンツサービス、法人向けのビジネスサポートサービスなど)が17億99百万円で、内訳はコンテンツサービスが10億54百万円、ビジネスサポートサービスが6億84百万円、再生可能エネルギーが60百万円、ソリューション事業(法人向けのシステム受託開発・運用など)が26億42百万円で、内訳はシステム開発サービスが19億16百万円、業務支援サービスが6億49百万円、その他サービスが76百万円だった。
■クリエーション事業は自社IPを活用したサービスを提供
クリエーション事業は、BtoCのコンテンツサービス(ゲーム・総合電子書籍等のエンターテインメント関連、ATIS交通情報や女性のリズム手帳等のライフスタイル関連などの一般消費者向けスマートフォンコンテンツサービスなど)、BtoBのビジネスサポートサービス(キッティング支援、交通情報、IP・PBXコミュニケーションシステム、10種類以上の入札方式を有する調達業務支援サービス、飲食事業者向けECサイト「いなせり」等のEC・ASPサービスなどの法人向け支援サービス)、BtoBの再生可能エネルギー(電力見える化サービス、山口県における太陽光発電など)で構成されている。
成長戦略として、自社IPを活用したサービス提供を通じて、新しいライフスタイルやビジネススタイルの創造を推進している。
NTTドコモによるスマートフォン向けサービス「スゴ得コンテンツ」では、24年9月にAI英会話サービス「Speak Lab forスゴ得」の提供を開始、25年3月に多彩なゲームがパックになったコンテンツ「SPゲームパックforスゴ得」の提供を開始、25年10月に「Speak Lab forスゴ得」の新サービス「毎日学習コース」の提供を開始、リング型文字穴埋めゲーム「脳トレ6文字リング」を「スゴ得コンテンツ」にて提供中の「ちょこっとゲームforスゴ得」で配信開始した。
独自開発のデフォルメマップによるATIS交通情報については、24年10月に中京テレビ放送、24年11月に琉球放送、24年12月にトヨタ自動車東京本社、25年1月にラジオ沖縄に対して提供を開始した。また25年2月にはトヨタ自動車と、トヨタ自動車が保有するプローブ情報の利用に関するデータ利用許諾契約を締結した。これまで網羅できなかった道路情報を収集し、より実用性の高い情報の提供を目指す。25年9月にはトヨタ自動車の本社と名古屋オフィスに対してATISの提供を開始した。また、あげおエフエム(埼玉県上尾市と伊奈町を放送エリアとするコミュニティFM「あいラジ」を運営)に対して提供開始した。
再生可能エネルギー関連では、25年4月にエネルギーマネジメントシステム(EMS)の開発に取り組む子会社の会津ラボが、会津若松市の庁舎をはじめとした複数施設へ「電力見える化システム」を提供した。
また25年5月には、NTTドコモへ「スゴ得コンテンツ」契約者増加の支援策を実施、NTTドコモへ「イエナカ事業」の業務支援を開始、KDDIの「Pontaパス」継続利用促進のための支援策を開始した。
■ソリューション事業はシステム開発や業務支援サービスを提供
ソリューション事業は、BtoBのシステム開発サービス(システム受託開発・保守・運用などのITソリューションサービス)、BtoBの業務支援サービス(高度人材による上流工程の常駐型支援サービス)、BtoBのその他サービス(中古端末買い取り販売サービス、ガラスコーティング剤販売など)で構成されている。クリエーション事業で培ったノウハウを活かし、ITソリューションを通じて顧客ビジネスに新しい価値を提供する。
24年10月には企業の調達業務を支援する新たなオープン型サービス「日本オープンマーケット」の提供を開始した。25年6月には、高度人材に特化した業務支援サービスを展開する子会社のダイブが、NTTドコモにおいて金融システムリスク管理業務の支援を開始し、金融領域の業務支援サービスを開始した。
■26年5月期1Q営業赤字だが通期大幅増益予想据え置き
26年5月期の連結業績予想は売上高が前期比20.0%増の53億30百万円、営業利益が3.5倍の2億40百万円、経常利益が2.8倍の2億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が7.1倍の1億55百万円としている。配当予想は前期と同額の3円(期末一括)としている。予想配当性向は74.6%となる。
第1四半期(6月~8月)は売上高が前年同期比1.2%増の10億82百万円、営業利益が11百万円の損失(前年同期は1百万円)、経常利益が32.1%減の5百万円、そして親会社株主帰属四半期純利益が7百万円の損失(同10百万円の損失)だった。小幅増収ながら営業赤字だった。クリエーション事業における月額コンテンツ会員獲得のための広告宣伝投資、ソリューション事業におけるシステム開発サービスの外注費増加などが影響した。
クリエーション事業(一般消費者向けコンテンツサービス、法人向けビジネスサポートサービス等)は、売上高が2.6%増の4億31百万円、営業利益(全社費用等調整前)が22.2%減の77百万円だった。売上高の内訳はコンテンツサービスが0.2%減の2億44百万円、ビジネスサポートサービスが6.7%増の1億68百万円、再生可能エネルギーが5.2%増の19百万円だった。売上面は一般消費者向けコンテンツサービスがその他コンテンツの減少で微減だが、法人向けビジネスサポートサービスがキッティング支援(代行サービス)等の増加で増収、再生可能エネルギーが良好な天候により増収だった。利益面はシステム開発サービスの外注費が増加したほか、月額コンテンツ会員獲得のための広告宣伝投資などが影響した。
ソリューション事業(法人向けシステム受託開発・運用等)は、売上高が0.3%増の6億50百万円、営業利益が7.0%増の57百万円だった。売上高の内訳はシステム開発サービスが4.8%減の3億63百万円、業務支援サービスが2.2%増の2億54百万円、その他サービスが81.5%増の32百万円だった。売上面はシステム開発サービスが復調途上のため受託開発や運用保守の減少により減収だが、業務支援サービスが開発領域の支援増加により増収、その他サービスがガラスコーティング剤等の増加により増収だった。
通期の連結業績予想は据え置いている。クリエーション事業ではコンテンツサービスやキッティング支援などの拡大、ソリューション事業ではシステム開発サービスの復調などを見込んでいる。積極的な事業展開で収益回復を期待したい。
■株価は売り一巡
株価は第1四半期業績を嫌気してモミ合いから下放れの形となったが、売り一巡感を強めている。出直りを期待したい。10月21日の終値は111円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS4円02銭で算出)は約28倍、今期予想配当利回り(会社予想の3円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS122円87銭で算出)は約0.9倍、そして時価総額は約43億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)