NTTと産総研、光ファイバーで道路陥没リスクを常時監視、地中30mまで高頻度観測を実証

■通信光ファイバーを活用し、地中空洞化を遠隔かつ低コストで監視

 NTT<9432>(東証プライム)と国立研究開発法人産業技術総合研究所は10月21日、既存の通信光ファイバーを利用し、道路陥没リスクの早期発見を目的とした地盤モニタリング手法を実証したと発表した。光ファイバーセンシング技術により地中深さ約3〜30メートルの広範囲を、1日1回程度の高頻度で遠隔監視できることを確認した。従来の地中空洞調査は地中レーダーなどによる現地測定が中心で、調査範囲は地表から約2メートルに限られ、周期も数年単位と非効率だった。同手法では、NTTが保有する約62万キロメートルの地下通信管路に敷設済み光ファイバーを活用することで、現地作業を要せずに高精度な観測を実現できる。既存インフラを活かした低コストな広域監視が可能となり、都市防災やインフラ維持管理の高度化への貢献が期待される。

 両者は、茨城県つくば市と埼玉県草加市で実際の市街地の地下管路を用いた実証実験を実施し、NTTの分布音響センシング(DAS)技術と産総研の微動アレイ探査技術の整合性を確認した。常時微動を解析することで地盤特性を推定し、両手法の結果がほぼ一致したことから、光ファイバーを地盤センサとして用いる有効性が実証された。さらに、空洞をモデル化したシミュレーションを行い、地盤特性の経時変化から空洞形成の予兆を推定できる可能性も示した。これにより、道路陥没事故の発生につながる地中空洞を早期に検知する技術的基盤が整ったといえる。

 今後は、2026年度中にNTTグループ会社を通じて自治体や上下水道事業者との連携を進め、実際の都市環境での実証を拡大する方針である。解析アルゴリズムの高度化と検知システム開発を推進し、全国的なインフラ監視・防災ネットワークとしての実装を目指す。NTTはさらに、衛星による地表層の空洞検知技術の研究も並行して進めており、地中から宇宙までを含む多層的なモニタリング体系の確立を視野に入れる。これらの取り組みは、陥没事故の予防、維持管理コスト削減、そして持続可能で安全な都市社会の形成に寄与するものである。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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