【どう見るこの相場】高市トレードの「大ドラマ」の一方で10月期決算の高配当利回り株の権利取りにも「小ドラマ」

■自民党総裁選と連立問題が相場を左右、短期急伸と急落を交錯

 高市トレードは、まるで「超高速エレベーター」のようだ。急上昇と急降下を繰り返し大忙しである。日経平均株価は、自民党の総裁選挙で高市早苗候補が総裁に選出されて2175円高と急伸して史上最高値4万8580円まで買い進まれたが、公明党の連立政権離脱では1241円安して4万7000円台を割り、日本維新の会との政策協議進展ととも825円高、605円高と続急伸し、最高値からの急落幅の8割方を埋めた。ところが前週末17日は、米国の地銀の信用リスク不安の流れ玉に当たったのか、なお21日に実施される首班指名選挙の動向は不透明とみたのか大引けにかけ値を崩し695円安と急反落した。翌週週明けの株安を示唆するアノマリーの「金曜日の引けボケ」である。

■助川電気、核融合関連銘柄として高市相場の象徴に

 これとほぼ同様のボラティリティとなったのが、、高市トレードのシンボル株とされる核融合関連株の助川電気工業<7711>(東証スタンダード)である。高市総裁の選出とともに3日間のストップ高を交えて年初来高値8410円まで短期倍化の急騰を演じたが、公明党の連立離脱とともに6820円まで売られ1600円安と急落したが、16日には1500円高と連続ストプ高して9460円と上値を伸ばした。ところが前週末17日は、8540円と急反落したあと、大引けにかけて今度は上場来高値9840円までリバウンドし日中値幅は1300円にも達し、ハシゴを外したり架けたり大変忙しい。ただ「金曜日の引けピン」であり、アノマリー上は日経平均の「金曜日の引けボケ」とは真逆に翌週の株高継続を期待させるともされている。

 きょう週明けの相場の方向性は、日経平均株価の「引けボケ」が正鵠を得ているのか、助川電気の「引けピン」が正しいのかは、もちろんみょう21日に召集される臨時国会での首班指名選挙で一件落着となるはずである。きょう中にも自民党と日本維新の会の間で連立政権化の合意文書が調印される見込みで、高市早苗自民党総裁が、日本維新の会の取り込みを実現して野党の一本化工作を分断しており、首班指名選挙の1回目の投票で過半数を獲得する圧勝となるか、あるいか2回目の決戦投票に持ち越しとなっても首相の座を射止めるのはまず間違いないと観測されているからだ。

■新内閣人事と日銀会合が今後の市場方向を決定づける可能性

 しかしそれで超高速エレベーター相場が、巡航速度の上りエスカレーター相場に転換して安定化するかといえば、なお時期尚早となる可能性も残る。ドラマはまだ続くのである。まず仮に女性初の総理大臣誕生となっても、この高市内閣の組閣人事が問題になる。自民党の総裁選挙に勝利した後の高い高市早苗総裁の党執行部の役員人事は、総裁選の論功行賞、派閥人事の復活、裏金議員の要職起用などと不評を買い、公明党の連立政権離脱を誘発した。これと同様に強行突破が繰り返されるのか、党役員人事を反面教師として穏便に人選されるのかは、マーケットにも影響する。

 さらに大きな関門、試金石は、10月29日、30日に開催される日本銀行の金融政策決定会合になるとの見方もある。日銀は、9月18日~19日開催の前回会合で金融政策の現状維持を決めたが、この時に審議委員の2名が反対票を投じた。消費者物価の趨勢は、この時と大差はない。コメ価格は、新米が市場に流通したにもかかわらず高止まりし、野菜価格もこの夏の後遺症で3割高、5割高の品目がラッシュとなっている。政策金利が据え置かれても引き上げられても、金融緩和論者の高市総理が、米国のトランプ大統領と同様に「中央銀行の独立性」にクレームをつけたのか、それとも植田和男日銀総裁がデータを重視したのか、新内閣に忖度したのかなどなど説明責任を求められやはり「大ドラマ」が続くことになる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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