中外製薬、レナリスファーマを150億円で完全子会社化、IgA腎症薬「sparsentan」開発権取得

■クロージング対価150億円、マイルストン最大160億円を設定

 中外製薬<4519>(東証プライム)は10月24日、国内バイオベンチャーのレナリスファーマ(東京)を完全子会社化すると発表した。レナリスファーマが保有するIgA腎症治療薬「sparsentan(米国製品名:FILSPARI)」の日本・韓国・台湾における独占的な開発・販売権を取得する。株式取得対価はクロージング時に150億円を支払い、最大160億円のマイルストンおよび売上連動支払を加える構成となる。クロージングは11月末を予定しており、業績への影響は軽微としている。

 レナリスファーマは2023年4月、キャタリスパシフィックとSR Oneにより設立された。米トラヴィア・セラピューティクス社(Travere Therapeutics)からsparsentanのアジア3カ国における独占開発・販売権を取得しており、現在、日本で第Ⅲ相臨床試験を進めている。sparsentanはエンドセリン受容体A型とアンジオテンシンⅡ1型受容体の双方を阻害する低分子薬で、世界18カ国で実施された国際共同治験(PROTECT試験)で有効性と安全性が確認され、米国では2023年2月、欧州では2024年4月に承認済みである。日本ではブリッジング戦略を採用しており、開発成功確度は高いとみられる。

 中外製薬はすでにIgA腎症を対象とする核酸医薬品「sefaxersen(開発コードRG6299)」を開発中で、今回の買収により作用機序の異なる複数の治療選択肢を確保する。両剤を通じ、IgA腎症をはじめとする腎疾患のアンメットメディカルニーズに包括的に対応し、実臨床での多様な治療アプローチを提供する方針である。同社は「革新的な医薬品とサービスを通じて世界の医療と健康に貢献する」ことを経営理念に掲げ、成長投資と株主還元の最適配分を進めている。今回の完全子会社化は戦略的投資の一環であり、腎疾患領域でのパイプライン拡充を通じて、患者と医療関係者への貢献、企業価値・株主価値のさらなる向上を目指すとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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