【業績上方修正相次ぐ】空港施設・大ガス・日本酸素HDなど、収益改善と株主還元で最高益・増配へ

■金融・外食・物流・製造まで、幅広い業種で増益傾向が鮮明

 10月30日、企業の収益改善を背景に上方修正の発表が相次いだ。航空、エネルギー、化学ガスなど多様な業種で利益率の向上と株主還元の拡充が進み、最高益や増配の動きが広がっている。円安や需要回復に加え、コスト管理の徹底と価格転嫁の進展が要因であり、日本企業の収益体質強化が明確になってきた。

■航空・エネルギー・化学ガスなど主要企業が好決算を発表

 空港施設<8864>(東証プライム)は、2026年3月期通期の経常利益予想を従来の減益見通しから一転し、34%増益に上方修正した。航空需要の力強い回復が続き、17期ぶりに過去最高益を更新する見通しである。大阪ガス<9532>(東証プライム)も経常利益を13%上方修正し、期末配当を15円増額する。エネルギー価格の安定化やガス事業の収益改善が寄与し、安定成長と株主還元の両立を示した。日本酸素ホールディングス<4091>(東証プライム)は7~9月期(第2四半期)の最終利益が44%増益となり、通期配当予想を4円増額して58円とする。産業ガス事業の堅調な需要が業績を押し上げ、収益力強化と株主重視の姿勢を明確にした。

■製造・建設・地域金融にも好循環が拡大

 製造・建設関連では、ダイショー<2816>(東証スタンダード)が上期経常利益を69%上方修正した。円安による原材料高を吸収し、値上げ定着と販売戦略の効果で収益を拡大させた。南海辰村建設<1850>(東証スタンダード)は上期経常利益が前年同期比78%増益、建築工事の採算改善が寄与した。愛三工業<7283>(東証プライム)は7~9月期経常利益が48%増益で、世界的な自動車生産回復と円安効果が追い風となった。東海エレクトロニクス<8071>(名証メイン)も上期経常利益を53%増益で着地し、半導体・電子部品販売の拡大が利益を押し上げた。

 さらに、京葉瓦斯<9539>(非上場/参考)は1~9月期経常利益を71%増益で着地。北日本銀行<8551>(東証スタンダード)と東陽倉庫<9306>(東証プライム)は上期経常利益を減益予想から一転して増益に上方修正した。筑波銀行<8338>(東証プライム)も64%の大幅上方修正を発表するなど、地域金融や物流分野にも好調が波及している。外食の木曽路<8160>(東証プライム)は赤字幅を縮小し、来店回復と販促強化で収益性が改善した。各社の発表からは、エネルギー価格の安定、需要回復、円安効果が企業業績を押し上げている構図が明確であり、上場企業全体に利益成長と株主還元の好循環が広がりつつある。

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