加賀電子、26年3月期通期連結業績予想を2回目の上方修正、EMS・PC・アミューズメント好調

(決算速報)
 加賀電子<8154>(東証プライム)は11月6日に26年3月期第2四半期累計(以下、中間期)連結業績を発表した。2桁増収増益だった。EMSビジネス、パソコン販売ビジネス、アミューズメント機器販売が好調に推移し、人件費の増加などを吸収した。そして通期の連結業績予想を上方修正(8月7日付に続いて2回目)した。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は最高値圏だ。上方修正や指標面の割安感を評価し、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■26年3月期中間期2桁増収増益で通期連結業績予想を2回目の上方修正

 26年3月期中間期の連結業績は、売上高が前年同期比11.5%増の2889億59百万円、営業利益が13.5%増の130億49百万円、経常利益が19.2%増の134億43百万円、親会社株主帰属中間純利益が89.3%増の150億33百万円だった。

 2桁増収増益だった。電子部品事業のEMSビジネス、情報機器事業のパソコン販売ビジネス、その他セグメントのアミューズメント機器販売が好調に推移し、人件費の増加などを吸収した。営業外では為替差損が6億76百万円減少(前期は差損9億95百万円、当期は差損3億19百万円)した。特別利益では投資有価証券売却益が11億29百万円増加(前期は76百万円、当期は12億05百万円)したほか、段階取得に係る差益4億66百万円、負ののれん発生益38億円を計上した。

 電子部品事業は売上高が9.7%増の2477億88百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が3.3%増の89億67百万円だった。EMSビジネスは車載向け、事務機向けの一部顧客で需要減少したものの、医療機器向け、空調機器向け、産業機器向けが好調に推移した。部品販売ビジネスは、協栄産業を第2四半期より新規連結したことが寄与したほか、長期化が懸念されていたサプライチェーンにおける在庫調整に回復の兆しが見られた。

 情報機器事業は売上高が15.8%増の215億71百万円、利益が16.1%増の16億16百万円だった。パソコン販売ビジネスは新入学向け需要期で教育機関向けの販売数量が増加したほか、量販店向けもWindows10サポート終了に伴う買い替え需要が追い風となった。また比較的採算性の高いセキュリティソフトの好調も寄与した。電気・通信機器設置ビジネスでは電気設備(受変電、太陽光パネル)工事の受注が拡大した。

 ソフトウェア事業は売上高が14.1%増の16億79百万円、利益が35.6%減の1億65百万円だった。利益は前期を下回ったが、売上面はゲームおよびアミューズメント機器向けCG制作の受託拡販で増収だった。

 その他事業(エレクトロニクス機器修理・サポート、アミューズメント機器製造・販売、スポーツ用品販売など)は売上高が36.9%増の179億19百万円、利益が94.0%増の21億22百万円だった。大幅増収増益だった。国内および米国向けアミューズメント機器が好調に推移したほか、PC製品およびPC周辺機器のリサイクルビジネスも堅調だった。

 なお会社別の営業利益(連結調整前)は、加賀電子が14.8%増の111億21百万円、加賀FEIが3.1%増の10億22百万円、エクセルが6.7%減の6億47百万円、協栄産業が1億87百万円だった。中計セグメント別の営業利益(同)は電子部品が1.1%減の49億63百万円、EMSが8.4%増の45億13百万円、CSI(コンシューマー&システムインテグレーター)が16.1%増の16億16百万円、その他が117.8%増の18億45百万円だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1380億86百万円で営業利益が64億84百万円、第2四半期は売上高が1508億72百万円で営業利益が65億64百万円だった。

 通期の連結業績予想については11月6日付で上方修正(25年8月7日付に続いて2回目の上方修正)して、売上高が前期比8.6%増の5950億円、営業利益が8.0%増の255億円、経常利益が12.9%増の255億円、親会社株主帰属当期純利益が52.2%増の260億円としている。

 中間期の業績を鑑み、前回予想(25年8月7日付の上方修正値、売上高5740億円、営業利益240億円、経常利益238億円、親会社株主帰属当期純利益242億円)に対して、売上高を210億円、営業利益を15億円、経常利益を17億円、親会社株主帰属当期純利益を18億円、それぞれ上方修正した。

 修正後のセグメント別の計画は、電子部品事業の売上高が9.2%増の5165億円でセグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が9.3%増の185億円、情報機器事業の売上高が5.5%増の450億円で利益が5.8%増の35億円、ソフトウェア事業の売上高が3.3%増の35億円で利益が1.9%減の5億円、その他事業の売上高が4.1%増の300億円で利益が10.8%増の30億円としている。

 修正後の通期予想に対する中間期の進捗率は売上高49%、営業利益51%、経常利益53%、親会社株主帰属当期純利益58%である。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

 なお配当予想(25年8月7日付で第2四半期末5円、期末5円、合計10円上方修正)は据え置いて、24年10月1日付の株式2分割遡及換算後で前期比10円増配の120円(第2四半期末60円=普通配当55円+特別配当5円、期末60円=普通配当55円+特別配当5円)としている。予想配当性向は22.9%(負ののれん発生益72億円を除くベースでは31.6%)となる。

■株価は上値試す

 株価は最高値圏だ。上方修正や指標面の割安感を評価し、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。11月6日の終値は3530円、今期予想連結PER(修正後の会社予想連結EPS524円78銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の120円で算出)は約3.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3162円68銭で算出)は約1.1倍、そして時価総額は約1853億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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