ゼリア新薬工業、一過性要因乗り越え通期小幅減益予想据え置き、下期の海外事業は回復見込み

(決算速報)
 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は11月5日に26年3月期第2四半期累計(以下、中間期)連結業績を発表した。大幅減益(10月31日付で下方修正)だった。海外市場において前期第4四半期に出荷が大幅増加した反動、製造委託している工場で生産設備不具合が発生して十分な製品供給が受けられなかった一過性要因の影響に加え、営業外での為替差損益の悪化などが影響した。ただし通期の小幅減益予想を据え置いた。下期は海外の医療用医薬品事業の回復を見込んでいる。また通期ベースでは為替差損益の発生を見込んでいない。積極的な事業展開で下期の挽回を期待したい。なお自己株式消却(11月26日付で100万株消却予定)を発表した。株価は年初来安値圏で軟調だが、調整一巡して出直りを期待したい。

■26年3月期中間期は一過性要因で大幅減益、通期予想据え置き

 26年3月期中間期の連結業績は売上高が前年同期比5.8%減の399億60百万円、営業利益が43.6%減の36億41百万円、経常利益が66.6%減の26億56百万円、そして親会社株主帰属中間純利益が71.3%減の17億37百万円だった。

 大幅減益(10月31日付で下方修正)だった。売上面は海外市場において前期第4四半期に出荷が大幅増加した反動、アサコールの製造を委託している工場で生産設備不具合が発生して十分な製品供給が受けられなかった一過性要因の影響で減収となり、利益面は減収影響、海外子会社の基幹システム投資に伴う経費の増加、さらに営業外での為替差損益の悪化(前期は為替差益13億20百万円、当期は為替差損10億57百万円)などが影響した。

 医療用医薬品事業は、売上高(外部顧客への売上高)が8.2%減の262億08百万円、営業利益(全社費用等調整前)が41.3%減の34億22百万円だった。主要製商品の売上高は、ディフィクリアが0.4%減の98億52百万円、アサコールが12.5%減の98億43百万円、エントコートが29.7%減の18億50百万円、アコファイドが2.7%増の15億68百万円、その他が4.6%減の30億93百万円だった。国内市場は薬価改定や長期収載品の選定療養制度、競合品の影響などで厳しい状況が続いた。海外は主要市場であるイギリスやフランスが順調だったが、一部地域において前期第4四半期の出荷が大幅増加した反動、アサコールの製造を委託している工場で生産設備不具合が発生して十分な製品供給が受けられなかった一過性要因が影響した。

 コンシューマーヘルスケア事業は、売上高が0.9%減の136億75百万円、営業利益が1.6%増の31億70百万円だった。主要製商品の売上高は、ヘパリーゼ群が9.4%増の64億27百万円、コンドロイチン群が2.5%増の28億97百万円、ウィズワン群が2.1%増の7億37百万円、その他が17.4%減の36億12百万円だった。プレバリン群、マスデント群が競合品の影響で低調だったが、ヘパリーゼ群や植物性便秘薬ウィズワン群が広告宣伝投資効果で伸長した。

 その他(保険代理業・不動産賃貸収入等)は売上高が1.6%増の76百万円、営業利益が25.2%減の88百万円だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高194億89百万円、営業利益15億20百万円、経常利益16億62百万円、第2四半期は売上高204億71百万円、営業利益21億21百万円、経常利益9億94百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が前期比3.1%増の900億円、営業利益が1.6%減の120億円、経常利益が6.5%減の120億円、親会社株主帰属当期純利益が4.4%減の95億円としている。配当予想も据え置いて前期比1円増配の48円(第2四半期末24円、期末24円)としている。連続増配で予想配当性向は22.3%となる。

 売上面は医療用医薬品事業、コンシューマーヘルスケア事業とも順調に推移して増収だが、利益面はエネルギー・原材料価格高騰の影響、研究開発投資や海外子会社における基幹システム投資に伴う経費の増加などを考慮している。なお中間期は大幅減益だったが、下期は海外の医療用医薬品事業の回復を見込んでいる。また通期ベースでは為替差損益の発生を見込んでいない。積極的な事業展開で下期の挽回を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は年初来安値圏で軟調だが、調整一巡して出直りを期待したい。11月5日の終値は1960円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS215円52銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の48円で算出)は約2.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2031円33銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約1022億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■ガソリン・軽油の暫定税率廃止法成立  ガソリン暫定税率廃止法は11月28日に成立し、ガソリン税2…
  2. ■うつ・統合失調症・発達障害を脳から理解する、最前線研究を平易にまとめた一冊  翔泳社は11月25…
  3. 【新築マンションの短期売買を分析】  国土交通省は11月25日、三大都市圏および地方四市の新築マン…
2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

ピックアップ記事

  1. ■日銀イベント通過で円高前提、紙・パ株が師走相場の主役候補  今週のコラムは、日銀の金融政策決定会…
  2. ■FOMC通過も市場は波乱、金利と為替に残る違和感  FRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公…
  3. ■眠れる6900トンの金が動き出す、「都市鉱山」開発でリデュース株に追い風  今週の当コラムは、金…
  4. ■天下分け目の12月10日、FRB利下げで年末相場は天国か地獄か?  天下分け目の12月10日であ…
  5. ■AI・データセンター需要拡大に対応、測定能力は従来比最大2倍  リガク・ホールディングス<268…
  6. ■売り方手仕舞いで需給改善が後押し  師走相場では、リスクの大きい銘柄であっても、逆日歩のつく信用…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る