富士通、空間World Model技術を開発、人とロボの協調社会へ新段階

■CES2026でデモ展示、2026年度内に主要拠点で実証を開始

 富士通<6702>(東証プライム)は12月2日、人とロボットが共存・協働する未来社会の実現に向け、空間内の人・ロボット・モノの未来状態を予測できる空間World Model技術を開発したと発表した。同社が蓄積してきたコンピュータビジョンとAI技術を基盤とし、物理法則を理解するPhysical AI研究を発展させるものである。2026年1月のCES2026でデモ展示を予定し、同年度中には「Fujitsu Technology Park」などで実証を進める。

■動的環境でも空間を把握、一般環境でのロボット協調を可能に

 現在のPhysical AIは、通路が限定された製造現場などでは運用が進む一方、人が生活する一般環境では動きや物体配置の変化が大きく、状況把握が難しいという課題がある。また、多数の人やロボットが同時に存在する空間では、他者の行動予測が困難で協調動作を実現しにくい。富士通はこれまで、人流解析や異常行動検知など空間把握技術を発展させており、2025年4月には空間ロボティクス研究センターを設立し、実環境で機能するPhysical AIの研究を強化してきた。

 今回開発した同技術は、人・ロボット・モノの相互作用に基づいて3Dシーングラフを構築することで、固定カメラとロボットカメラの視野差や歪みを抑えつつ空間全体をリアルタイムに把握できる点が特長である。さらに、空間全体の時系列データを学習し、多様な行動主体の次の行動を推定することで未来の状態を予測する。これにより、自律ロボット間の衝突回避や最適な協調動作プラン生成が可能となり、公開ベンチマークでは行動意図推定精度が従来比3倍に向上したとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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