
■トランプ政権、関税引き上げ8月1日発動の構え
トランプ米大統領は7月6日、各国との関税交渉について「9日までにほとんどの国と交渉が完了する」との見通しを示した。関税引き上げは8月1日に発動される予定で、対象国には7日以降、関税率を通知する書簡が発送される。4月に公表された一律10%の基本税率に加え、国別の上乗せ分が適用される見込みだが、上乗せ分は一時停止されていた。ベセント財務長官は、交渉がまとまらなかった国には4月2日の関税水準が再適用されると述べた。交渉の進展によっては一部国との貿易協定が数日中にまとまる可能性もあるが、8月1日にすべての関税が引き上げられるかは依然不透明である。
■短期的には3社に1社が「影響なし」も、先行き見通せず懸念強まる
帝国データバンクは、トランプ関税に対する企業の意識調査(速報版)を7月3日に発表した。ドナルド・トランプ氏が2025年1月に米国大統領に復帰して以降、日本に対する相互関税の適用を含む新たな関税政策が次々と打ち出されている。これを受けて全国2万6,237社を対象に調査を実施し、1万435社から有効回答を得た(回答率39.8%)。その結果、企業の間で不透明感や懸念が高まっていることが明らかとなった。
■政府には支援策と粘り強い交渉の強化が求められる
短期的(今後1年以内)な影響について「マイナス影響がある」と回答した企業は40.7%で最多となり、「影響はない」が33.2%、「分からない」が25.1%と続いた。「プラス影響がある」とする回答は0.9%にとどまり、影響の大半は否定的に捉えられている。また中長期(今後5年程度)の影響については「マイナス影響がある」が44.0%に増加し、「影響はない」が16.5%、「分からない」が38.5%と、不確実性の高さが企業の判断に影響を与えていることが浮き彫りとなった。
企業の自由記述からは「米国進出の断念」「原材料価格の上昇」「製造業の輸出困難化」など、多方面への影響が懸念されている声が多く挙がった。特に中小企業では、すでに資金繰りが厳しくなっているとの報告もあった。一方で、「輸入品の減少による国内農産物の需要増」や「マスコミ報道の過熱を懸念し静観姿勢を取る」といった声も一部に見られたが、全体としては慎重な姿勢が主流である。
今回の調査結果は、7月9日に終了予定の関税猶予期間後、日本に対する関税率が再び24%に戻る可能性や、新たな関税措置への不安が背景にある。こうした中、日本政府には、国内企業への支援策を強化し、米国政府との交渉を継続することで、過度な産業負担を抑制することが求められている。帝国データバンクは、7月中旬に詳細版レポートを発表する予定としている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)