【編集長の視点】土木管理総合試験所は反落も下値では連続大幅増配を見直し大型インフラ工事関連人気も底流

編集長の視点

 土木管理総合試験所<6171>(東2)は、31円安の1090円と3日ぶりに反落して始まっている。きょう24日の日経平均株価が、欧米株安や円高進行の影響を受けて298円安と続急落してスタートしていることから、今年1月21日につけた上場来安値910円からの底上げをしている同社株にも目先の利益を確定する売り物が先行している。ただ同社は、今年2月12日に発表した12月期決算で、今期配当を年間30円(前期実績18円)へ大幅増配を予想したことを見直し好配当利回り買いが、下値に続いており、さらに今期業績も、社会インフラ工事向けに試験総合サービス事業が好調に推移して続伸することから、下げ過ぎ訂正買いも加わっている。リニア中央新幹線の品川駅建設着工や、JR東日本<9020>(東1)が、新幹線の大規模改修引当金の積立計画を発表したことも大型プロジェクトによる業績期待を高めている。

■リニア中央新幹線工事受注や新センター竣工による西日本エリアの営業強化などが寄与

 同社の業績は、前2015年12月期業績が、昨年8月の新規株式公開(IPO)時予想を上ぶれて着地し、今2016年12月期業績は、売り上げ46億6500万円(前期比6.9%増)、経常利益4億2000万円(同0.4%増)、純利益2億6000万円(同5.9%減)と予想されている。試験総合サービス事業では、リニア中央新幹線向け工事の受注や今年2月22日に竣工した西日本試験センターを拠点に西日本エリアでの営業活動強化により前期比30名増員する人件費負担を吸収、地盤補強サービス事業でも中規模物件の受注展開を図り、引き続き既存業務の効率化による利益率の向上を進めることなどが要因となる。なお純利益は、税負担が増加するため小幅減益転換を見込んでいる。

 配当は、前期に年間18円として実質で13円の増配を実施したが、今期は年間30円と連続増配を予定、前期は期末配当1本だったが、今期は中間配当15円、期末配当15円の2本立てで実施する。

■上場来安値からストップ高を交えPER12倍台の割安修正に弾みをつけリバンド幅拡大

 株価は、昨年8月のIPO時に公開価格1350円を下回る1220円で初値をつけ、1140円と下ぶれた。同安値からは、昨年9月の鬼怒川の堤防決壊や同10月に明らかになったマンションの杭工事データ偽装問題などでインフラ関連株人気を高め、ストップ高を交えて上場来高値2330円まで買い進まれる高人気となった。年明け後は、世界同時株安の波及で上場来安値910円へ突っ込んだが、リニア中央新幹線の品川駅建設着工を先取りしてストップ高し、底上げに転じてきた。PERは12倍台、配当利回りは2.75%と割安であり、初値抜けから公開価格奪回へなどとリバウンド幅の拡大が有望視される。(本紙編集長・浅妻昭治)

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