
■「変身と成長」掲げ1300億円の積極投資、収益構造の転換図る
吉野家ホールディングス<9861>(東証プライム)は5月19日、2025年度から2029年度までの中期経営計画を発表した。同社は「変身」と「成長」をテーマに掲げ、既存事業の変革と新たな成長ドライバーの確立を目指す。そのなかで、ラーメン事業を第3の主要セグメントへと育成する方針で、5年間で売上高を80億円から400億円へと拡大する計画だ。この構想は「ラーメン提供食数世界NO.1」を掲げ、国内外での積極的な店舗展開とM&A戦略を軸に推進する。
社会環境の変化や人件費の上昇など厳しい経営環境のなか、同社は5年間で総額1300億円の投資を計画。既存事業の基盤強化に100億円、成長投資に800億円、インオーガニック投資に400億円を配分する。ラーメン事業では国内外での店舗展開を加速させるとともに、子会社の宝産業を活用した製造・開発機能の強化も進める。ハラル対応スープの開発や海外製造拠点の拡大など、グローバル展開も視野に入れている。
2029年度の経営目標として、売上高3000億円(現行の約1.5倍)、営業利益150億円(同2倍超)、ROIC7.0%を掲げる。事業ポートフォリオも、現在の吉野家依存型から、ラーメン事業のシェアを13%まで高めた多角化型へと変革する。同社は「変身と成長」の実現に向け、人的資本経営の推進、IT・テクノロジー投資の拡大、サステナビリティ推進にも注力し、社会的価値と経済的価値の向上を目指す。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)