【株式評論家の視点】テラは樹状細胞ワクチンでの業務提携活発、ワクチン提供医療機関拡大

株式評論家の視点

■株価は4月急伸の調整一巡感

 テラ<2191>(JQS)は、創薬ベンチャーで中長期的な会社の経営戦略樹として、樹状細胞ワクチンの再生医療等製品としての承認取得、細胞医療事業の拡大、海外への展開、先端医療周辺産業への展開という4つのビジョンの実現を通じて、同社の継続的な発展と企業価値の増大を目指している。

 医薬品事業においては、樹状細胞ワクチンの再生医療等製品としての承認取得を目指し、膵臓がんを対象とした治験の準備を進めている。細胞医療事業においては、保険外診療で提供されている現行の樹状細胞ワクチン療法を中心とした免疫療法の技術改良を進めるとともに、新たながん抗原の導入やこれまでの研究開発成果を活かし、新規治療ラインナップの実用化を目指しているほか、先進医療においては、すでに信州大学医学部附属病院や福島県立医科大学附属病院で実施し、他の医療機関での提供が可能になるよう支援している。

 今2016年12月期第2四半期業績予想は、売上高が11億2600万円(前年同期比3.0%増)、営業損益が、1億2300万円の赤字(同2億2900万円の赤字)、経常損益が1億3400万円の赤字(同2億4400万円の赤字)、最終損益が1億4000万円の赤字(同2億6700万円の赤字)を見込んでいる。

 通期業績予想は、売上高が11億2600万円(前期比7.5%増)、営業損益が3億1600万円の赤字(同6億0100万円の赤字)、経常損益が3億2800万円の赤字(同6億2300万円の赤字)、最終損益が3億4900万円の赤字(同9億9000万円の赤字)と赤字幅縮小を見込んでいる。

 株価は、3月24日大引け後に組織培養用培地を手掛けるコージンバイオ(埼玉県坂戸市)と業務委託契約を締結し、テラのがん免疫療法「樹状細胞ワクチン療法」を提供する医療機関拡大に向けた協業開始との発表、オンコセラピー・サイエンスと共同でがん細胞の遺伝子異常解析を基盤にした「ネオアンチゲン樹状細胞ワクチン療法」の実用化に取り組むことで合意したとの発表を手掛かりに、4月22日に年初来の高値値1034円と上昇。6月17日安値677円まで調整した後、モミ合っている。「ネオアンチゲン樹状細胞ワクチン療法」は、個々の患者のがん細胞の遺伝子異常情報を基盤として、患者ごとに特別なオーダーメードのワクチン治療法を提供する「究極の個別化医療」と考えられており、今後の進展に市場の関心が向かう。折に触れ材料が出る可能性があり、ここから下押す場面があれば、待ち伏せ買い妙味が膨らみそうだ。(株式評論家・信濃川)

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