CRI・ミドルウェアの前9月期は売上高が12%増加し今期は29%増加を見込む

■ゲームなど「音声」と「映像」に「振動」の臨場感も加わり連続最高益

 ゲーム開発用中核ソフトウェアの大手、CRI・ミドルウェア<3698>(東マ)が11月11日に発表した2016年9月期の連結業績は、ソニー(6758)グループの「プレイステーションVR」に代表されるようなVR(バーチャルリアリティ:仮想現実・人工現実感)映像の本格化などに乗り、売上高が13.34億円(前期比11.6%の増加)となり、営業利益は3.26億円(同22.3%の増加)となるなど、売上高、各利益とも連続で最高を更新する好決算となった。

 純利益も最高を更新し2.03億円(同26.2%の増加)となった。同社は、国内で唯一の「音声」と「映像」に関するミドルウェア企業で、主力ブランド「CRIWARE」などの包括ライセンス契約が順調に拡大して増益に貢献した。前9月期からは、国際的にも先端を切って「振動」に関するミドルウェアを投入。ゲームの臨場感を一段と高めるものとして需要を集めており、今期・17年9月期は一段と拡大するとの見方が多い。

■ネットショッピング画面や動画広告の高映像化など新規分野も積極推進

 スマートフォン向けや遊戯機向けの使用許諾売上高も拡大して増益に貢献。ゲーム関連以外の新規分野では、カジノ遊戯機、カラオケ機器向けなどにも事業を拡大し、医療・ヘルスケア分野では、大学と連携した試験的研究開発や病院向けの開発を継続した。医療・ヘルスケア分野は16年9月期、17年9月期とも約1億円の売り上げを見込むが、同社では、3年後ぐらいから拡大期に入るとみている。

 17年9月期を含めた成長戦略は、大きく3本の柱を中軸として推進し、ゲーム関連以外の新規市場への拡大、海外への事業拡大、製品の強化、などを図っている。たとえば、ネットショッピングなどのeコマースや動画広告などに「音声」「映像」「振動」による臨場感をもたせれば、動画を利用した高度な商品紹介サイトのWEB動画ソリューションを提供できる。同社のブラウザ向けWEB動画ミドルウェア「LiveActPRO(ライブアクトプロ)」は専用のアプリが不要で、通常のWEBブラウザで作動し、電子メールで送っても高度な動画が実現できるという。

 また、映像の劣化なく動画データを1/2に圧縮する高圧縮トランスコードシステム「CRIダイエットコーダー」は、映像配信、動画配信のデータ量増大による通信コスト増加やストレージコスト増加を解決でき、映像配信はもとより、膨大な動画データを扱う監視カメラ、手術映像記録などに高度な動画圧縮ソリューションを提供できる。

 17年9月期の業績見通しは、ゲーム分では引き続き許諾売上高の拡大を中心に前期比36%の増加を見込み、新規分野は同じく39%の増加を見込むほか、海外の拡大などによって売上高を前期比28.9%増加の17.20億円とした。営業利益は売り上げ拡大に向けた開発人員、営業人員の増加などを行いながら前期比19.5%増の3.90億円とし、純利益は同32.8%増の2.70億円、1株利益は54円92銭とした。売上高、各利益とも連続で過去最高を更新することになる。

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