【株式評論家の視点】アカツキは利益予想レンジを減額、リターン狙いで下値買い

株式評論家の視点

 アカツキ<3932>(東マ)は、本年3月17日に東京証券取引所マザーズに上場。スマートフォン向けゲームの企画・開発・運営を行い、自社オリジナルまたは他社IP(知的財産権)を利用したゲームを手掛けている。国内では「こだわり層」向けオリジナルとIPタイトルのポートフォリオ・高いヒット率を重視し、開発タイトル数は厳選(年間2~4本のペースを想定)・開発期間は1年以内の早期リリースを目指している。海外でも拡大中の「こだわり層」市場をピンポイントで狙い、収益化の見込みを高めているほか、国内成功タイトルを海外に素早く水平展開することで高い成功確率を目指している。

 ネイティブアプリの開発及び運用に経営資源を集中し、2013年7月に「シンデレライレブン」、同年11月に「サウザンドメモリーズ」、14年3月に株式会社バンダイナムコスタジオとの共同開発案件である「テイルズ オブ リンク」(株式会社バンダイナムコエンターテインメント提供)、15年1月に株式会社バンダイナムコエンターテインメントとの協業タイトルである「ドラゴンボールZドッカンバトル」をリリース後、順調にユーザー数は増加。特に「サウザンドメモリーズ」は、本年9月末時点で累計1,000万ダウンロードを超える人気アプリに成長しているほか、「テイルズ オブ リンク」は、国内外累計212万ダウンロード、「ドラゴンボールZドッカンバトル」は、国内外累計で9,000万ダウンロードに達している。

 11月14日大引け後に発表した今2017年3月期第2四半期業績実績は、売上高が44億2100万円(前年同期比82.1%増)、営業利益が17億6600万円(同99.0%増)、経常利益が16億9700万円(同2.0倍)、純利益が11億7300万円(同2.3倍)に着地。

 同日今17年3月期通期業績予想の修正も発表。売上高は従来予想の70~100億円から80~90億円(前期実績59億5400万円)、営業利益は同20~40億円から20~30億円(同21億4600万円)、経常利益が同20~40億円から19~29億円(同19億7400万円)、純利益は同14~28億円から12~19億円(同39.4%増)になる見通し。

 株価は、5期連続最高益更新見通しを手がかりに5月18日につけた上場来の高値7430円と買われた後、10月4日安値2286円と調整を挟んで11月14日高値2910円と上昇。今期の利益予想レンジを減額したことを嫌気した売りに下げているが、通期営業利益はレンジ予想平均25億円(前期比16.5%増)と高い成長が続く見通し。本年夏に配信開始を予定していた青春体験型野球ゲーム「八月のシンデレラナイン」(略称:ハチナイ)の配信時期が明らかになれば、切り返す展開は十分期待される。2300円どころの下値まで押す場面があれば、リターン狙いで買いを考えるところだろう。(株式評論家・信濃川)

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