【新規上場(IPO)銘柄】ティーケーピーは、宿泊・研修市場の確立に向けた新たな取り組みが注目される

株式市場 IPO 鐘

 ティーケーピー<3479>(東マ)は3月27日に東京証券取引所マザーズに上場。同社は企業向けの空間シェアリングビジネスの先駆けとして2005年に創業し、不動産オーナーから遊休不動産もしくは稼働率の低い不動産を借り受け、貸会議室としてリニューアルし、利用者に提供している。独自のインフラネットワークを構築し、5つのグレードをもって全国展開を行い、空間プロデュースのプロフェッショナルとして企業の会議室・バンケット需要に応えている。2017年5月31日現在同社が直営する総会議室数は世界4都市を含め全国で1,833室(前期末比4.6%増)の貸会議室を運営している。

 7月18日に同社は、広島市南区のアスティ広島京橋ビルで、本年2月20日に閉店した物販店舗跡地を長期賃貸契約し、貸会議室・宴会場にコンバージョンして「TKPガーデンシティ広島駅大橋」(仮称)として、本年10月に開業する予定と発表した。併せて、同ビル1・2階には株式会社アパマンショップホールディングス(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:大村浩次)と提携し、同社の100%子会社fabbit alpha株式会社が運営するコワーキングスペース「fabbit」と共同で展開、TKP初の「貸会議室・宴会場×コワーキングスペース」が融合する施設として開業すると発表した。現在は東京・大阪・福岡で展開し2000社の会員を有しているが、年内に国内外に20か所以上のコワーキングスペースの展開を計画しており、日本最大規模のコワーキングスペース事業の実現による業容拡大が期待される。

 7月12日に発表した今18年2月期第1四半期業績実績は、売上高72億5300万円、営業利益14億1500万円、経常利益12億4700万円、純利益7億4700万円に着地。企業の採用・研修の旺盛な需要に伴い、積極的な新規出店が奏功し大幅増収で売上高・営業利益ともに過去最高を更新。資金手当ても万全で、出店計画も問題なく進捗し、第1四半期営業利益は通期計画に対する進捗率が43%と順調に推移している。

 今18年2月期業績予想は、売上高268億3900万円(前期比22.1%増)、営業利益32億7100万円(同21.4%増)、経常利益30億2100万円(同18.4%増)、純利益17億0500万円(同26.1%増)と2ケタ増収増益を見込んでいる。

 株価は、3月28日に上場来安値9490円、4月14日安値9960円と売り直され下値確認から6月16日に上場来高値1万5390円と上昇。その後、モミ合いとなっている。売上に占める会議室料は6割を占めているが、料飲・オプション・宿泊を伴う高付加価値モデルによる売上拡大が見込まれている。また、中期経営計画では、最終年度の2020年2月期売上高385億円、営業利益58億円の数値目標を掲げているが、今18年2月期は研修による法人利用が顕著となっており、年間利用企業22,500社・上場企業2,000社の顧客基盤とした宿泊・研修市場の確立に向けた新たな取り組みが注目される。目先1万4000円割れが下値として意識されているうえ、25日移動平均線を突破しており、上昇に弾みがつくか注目したい。(株式評論家・信濃川)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■北海道大樹町で飛行、安全性と着地精度を実証  ホンダ<7267>(東証プライム)の研究開発部門で…
  2. ■自社で自動運転システムを持たない企業にも施工自動化を提供  日立建機<6305>(東証プライム)…
  3. ■年間約36万人が犠牲に、二輪事故対策が急務  豊田合成<7282>(東証プライム)は6月11日、…
2025年7月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

ピックアップ記事

  1. ■5月訪日客数が過去最高、6月も好調持続の見込みで市場活況  足元のインバウンド需要は、好調に推移…
  2. ■インバウンド関連株は「トランプ関税」のリーチ圏外で小型割安株特性を発揮  「たかが1%、されど1…
  3. ■内需株に広がる「トランプ・ディール」回避の波  東京電力ホールディングス<9501>(東証プライ…
  4. ■日米関税交渉、7月9日に運命の日「90日猶予」迫る潮目  「三日、三月、三年」とは、潮目、変わり…
  5. ■祝日と金融政策が交錯する7月  7月は、7月21日が「海の日」が国民の祝日に制定されてからフシ目…
  6. ■「MMGA」効果の造船株・海運株は「海の日」月間キャンペーン相場も加わり一段高を期待  あと1カ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る