【編集長の視点】Casaは反落も期末配当権利取りと割安直近IPO株買いのダブル効果で下値妙味

 Casa<7196>(東2)は、前日17日に45円安の2296円と反落して引けた。同社株は、昨年2017年10月31日に新規株式公開(IPO)されたばかりで、昨年12月の直近安値2127円から250円高して昨年11月27日につけた上場来高値2379円に肉薄しており、全般相場が3日ぶりに反落したことから、同社株にも目先の利益を確定する売り物が出た。ただ下値には、依然として今2018年1月期の期末配当44.5円の権利取りと、投資採算的にも割安として直近IPO株買いとがダブルに続いている。昨年6月に約120年ぶりに大幅に見直されて公布された改正民法により、同社が展開している家賃債務保証事業の市場拡大が観測されることも、業績期待を高めている。

■集金代行と家賃保証をセットにした「Casaダイレクト」の販売が拡大

 同社のIPO後の初本決算となる今2018年1月期業績は、売り上げ83億1500万円(前期比3.7%増)、営業利益12億5900万円(同7.7%増)、経常利益13億300万円(同3.2%増)、純利益8億500万円(同27.3%増)と予想され、配当も44.5円として初配当を予定している。家賃債務保証の申込件数を増加させるために積極的に代理店の拡大を図り、不動産管理会社向けには、集金代行と家賃保証をセットにしたサービス「Casaダイレクト」の販売が拡大し、同サービスを自主管理家主向けにカスタマイズした家主向け「家主ダイレクト」の販売も順調に推移し、さらに昨年5月からはWebで家主の管理業務をサポートするクラウド賃貸管理システム「大家カフェ」や同社契約者向けに旅行、買い物、飲食などの情報や割引サービス「入居者カフェ」をリリースし、差別化戦略を推進していることなどが要因となる。

 家賃債務保証事業は、少子高齢化や単身世帯の増加などの社会生活の変化とともに市場拡大が続いているが、昨年6月に公布された改正民法による連帯保証制度の見直しでは、個人保証の要件を厳しくしており、今後の家賃債務保証市場の拡大につながると観測されている。同社の続く次期2019年1月期業績への押し上げ効果が期待される。

■配当利回りは1.9%と市場平均を上回り「小さく産んで大きく育てる」絶好のチャンス

 株価は、公開価格2270円でIPOされ、所属市場がIPO市場でやや人気薄の東証第2部で資金吸収額も80億円超と規模が大きいことから2331円で初値をつけて上場来安値2113円まで調整、いったんは上場来高値2379円までリバウンドする場面もあったが、その後は初値水準が上値限界となる展開が続き、昨年12月の2番底2123円からは期末配当が意識され最高値を窺う水準まで出直った。配当利回りは、1.93%と東証2部全銘柄平均の1.40%をなお下回り、PERも、14倍台と同市場平均の29倍台を下回って割安であり、配当権利取りを兼ね、「小さく産んで大きく育てる」IPO株の投資鉄則を実践する絶好のチャンスとなりそうだ。(本紙編集長・浅妻昭治)

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