二度買うべし二度売るべし=犬丸正寛の相場格言

■二度買うべし二度売るべし

 似た格言に、『一度に買うは無分別」』があります。相場はなかなか自分の思ったとおりにはいかないものですから、売買は何回かに分けて行ないなさいと戒めています。

 投資家に、そうとうの自信があったとしても、相場は常に変化して動いていますので、昨日までは強い材料であっても、今日の相場には織り込まれて、強い材料とはいえなくなっている場合が多いのです。ましてや、昔と違ってネット取引が活発な今日では数分単位で強弱感が変化しますからなおさらです。

 投資家はどんなベテランであっても、売買という実際の行為に直面すると、それまでの冷静さが失われ、売買を急ぐ心理が働きます。不思議です。

 その理由としては、
 (一)熱心な相場研究、銘柄研究によって、絶対に大丈夫と過剰な自信を持つ
 (二)努力したのだから少しでも他人の先を越したい
 (三)努力したのだから、早く、そして少しでも多く儲けたい

 といった心理が働くためです。努力して研究し、「よし」と思ったところが危ないということです。それなら研究なんかする必要がないということにもつながりかねません。

 しかし、研究は絶対に必要です。要は、研究に打ち込んでいる間にも相場環境は変化しているので、数回、最低でも2回に分けて売買しなさいと教えているのです。昔の戦争映画などを観ていますと、数人の斥候を出して敵の様子をうかがいます。斥候が帰って来なければ敵がいるのです。一度に多くの兵を出すと全滅の恐れがあります。株式売買も戦いですから、一度に大量の注文を出すのでなく、斥候を出すように少なくとも2回くらいに分けて行うべきです。

 経営においても新製品を出す場合などは似た戦法をとります。筆者が担当していた日清食品の当時の安藤百福社長は新しい即席ラーメンを出す時は必ず九州から発売して様子を見ていました。いきなり、大消費地の大阪や東京で売り出して失敗することを避けるためでした。食品に限らず新商品を出す場合、地方で売り出して反応をみるのが普通です。新製品に長い時間と費用をかけ、そうとうの自信があったとしても企業は慎重に臨むのです。われわれ個人も大いに見習うべきだと思います。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. 【新築マンションの短期売買を分析】  国土交通省は11月25日、三大都市圏および地方四市の新築マン…
  2. ■学生発案の“牛乳をかける新食感”、とんがりコーンに朝食需要を開拓  ハウス食品グループ本社<28…
  3. ■6成分で多様な脱毛にアプローチ、簡単マッサージで日常ケアを支援  日本調剤<3341>(東証プラ…
2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

ピックアップ記事

  1. ■日銀イベント通過で円高前提、紙・パ株が師走相場の主役候補  今週のコラムは、日銀の金融政策決定会…
  2. ■FOMC通過も市場は波乱、金利と為替に残る違和感  FRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公…
  3. ■眠れる6900トンの金が動き出す、「都市鉱山」開発でリデュース株に追い風  今週の当コラムは、金…
  4. ■天下分け目の12月10日、FRB利下げで年末相場は天国か地獄か?  天下分け目の12月10日であ…
  5. ■AI・データセンター需要拡大に対応、測定能力は従来比最大2倍  リガク・ホールディングス<268…
  6. ■売り方手仕舞いで需給改善が後押し  師走相場では、リスクの大きい銘柄であっても、逆日歩のつく信用…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る