【アナリスト水田雅展の銘柄診断】ビー・エム・エルは16年3月期増収増益期待で上値試す

銘柄分析

 受託臨床検査大手のビー・エム・エル<4694>(東1)の株価は、3月の戻り高値3785円から利益確定売りなどで一旦反落したが、3400円近辺から反発して下値を切り上げている。16年3月期増収増益期待で上値を試す展開だろう。14年8月高値4175円も視野に入る。

 臨床検査事業を主力として、腸内細菌検査や食品衛生コンサルティングなどの食品衛生検査事業、電子カルテなどの医療情報システム事業、そしてSMO(治験支援)事業も展開している。

 事業基盤強化と収益力向上に向けてM&Aの積極活用、臨床検査事業でのクリニック市場の開拓、既存ユーザーへの深耕、首都圏のラボ拠点再編、ピロリ菌関連検査やアレルギー検査など重点検査項目の拡販、子会社の経営合理化、食品衛生事業での腸内細菌検査やノロウイルス検査などの拡販、新検査センター開設(14年5月、埼玉県川越市)に伴う検査領域・検査数量の拡大、厚生労働省の「登録検査機関」の資格取得、医療情報システム事業での電子カルテ「クオリス」のブランド向上などを推進している。14年6月には岡山医学検査センターを子会社化した。

 海外展開では13年12月、中国・上海に合弁会社(上海千麦博米楽医学検験所有限公司)を設立した。現地で臨床検査センター運営の実績を持つ上海千麦医療投資管理有限公司、および上海新虹橋国際医学中心建設発展有限公司と3社合弁で、中国でも臨床検査受託事業を展開する。

 前期(15年3月期)の連結業績見通し(8月14日に売上高を増額、利益を減額)は売上高が前々期比5.4%増の1043億50百万円、営業利益が同18.8%減の66億50百万円、経常利益が同17.9%減の70億50百万円、純利益が同23.6%減の38億10百万円としている。

 配当予想(5月12日公表)は、期末に記念配当10円を実施して同10円増配の年間60円(第2四半期末25円、期末35円=普通配当25円+記念配当10円)としている。

 第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比5.5%増収、13.2%営業減益、12.5%経常減益、14.7%最終減益だった。診療報酬改定、競争激化による価格下落、岡山医学検査センターののれん償却、人件費の増加などが影響して減益だったが、売上高は好調に推移している。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)266億93百万円、第2四半期(7月~9月)262億67百万円、第3四半期(10月~12月)265億89百万円で、営業利益は第1四半期22億61百万円、第2四半期19億19百万円、第3四半期20億53百万円である。

 また通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が76.2%、営業利益が93.7%、経常利益が93.4%、純利益が96.5%と高水準だった。通期増額の可能性があるだろう。

 また今期(16年3月期)は、クリニック市場での新規開拓強化、既存ユーザーへの深耕営業強化、重点検査項目の営業推進強化、食品衛生事業の新検査センター本格稼働、岡山医学検査センターの通期連結などが寄与して増収増益が期待される。

 株価の動きを見ると、3月の18日の戻り高値3785円から利益確定売りなどで一旦反落したが、3400円近辺から反発して下値を切り上げている。16年3月期の増収増益を期待する動きだろう。

 4月13日の終値3480円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS179円39銭で算出)は19~20倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間60円で算出)は1.7%近辺、そして前々期実績PBR(前々期実績の連結BPS2598円60銭で算出)は1.3倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線が上向きに転じてサポートラインとなった。14年10月2721円をボトムとして、15年1月3020円、3月3250円と下値を切り上げて強基調の形だ。16年3月期増収増益期待で上値を試す展開だろう。14年8月高値4175円も視野に入る。

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