【株式市場特集】持株会社化・社名変更・株式分割などのコーポレート・イベン銘柄に注目

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 今週の当特集は、なお中国恒大集団のデフォルト懸念が、世界的なショック安材料として燻っているなかで、一部コーポレート・イベン銘柄に注目した。このうち10月1日に経営統合される持株会社は、全10銘柄から株価的に中立の単独株式移転方式による持株会社化の6社を除く、共同株式移転方式により経営統合される4銘柄、社名変更でも新社名にそれだけの企業メッセージ、思い入れが窺われる3銘柄、株式分割銘柄も、権利落ちで買い易い株価水準となった一部主力株などで、株高持続性に期待したい。

■共同株式移転方式で統合の2社、3社のシナジー効果が最大化

 10月1日に株式共同移転方式で持株会社化されIPOされる4銘柄は、コード番号順に記すとくふうカンパニー<4376>(東マ)、インフロニア・ホールディングス<5076>(東1)、フルサト・マルカホールディングス<7128>(東1)、TREホールディングス<9247>(東1)となる。くふうカンパニーは、2018年10月に次ぎ2回目の経営統合で、明28日が最終取引日となるライフイベント事業のくふうカンパニー<4399>(東マ)と買い物情報サービスのロコガイド<4497>(東マ)により設立され、月間利用者はくふうカンパニーは約1700万人、ロコガイドは同約1600万人に達しており、このシナジー効果により生活総合メディア・サービスへの進化を目指す。統合される2社は、投資採算的に割高だが、くふうカンパニーは、今年4月発表の株式公開買い付け(TOB)に次ぐ5月の経営統合の発表で、すでに2018年10月に一度共同株式移転による経営統合を経験済みであることも、フォローの材料視される。

 インフフロニア・ホールディングスは、くふうカンパニーと同じ最終取引日の前田建設工業<1824>(東1)と前田道路<1883>(東1)、前田製作所<6281>(JQS)の3社による持株会社化で、この発端は2020年1月に前田建設が、前田道路に仕掛けた敵対的TOB(株式公開買い付け)にあり、持株会社化後は、上流工事から下流工事までを網羅する総合インフラサービス企業として統合後に中長期的に営業利益1000億円以上、純利益700億円以上への倍増を目指している。フルサト・マルカホールディングスは、同じく機械工具商社のフルサト工業<8087>(東1)と産業機械、建設機械の専門商社のマルカ<7594>(東1)が経営統合し、工作機械の取扱い規模の拡大、ロボットシステムによる自動化支援、海外展開の加速など連結営業利益で20億円程度(2025年度)のシナジー効果を見込み、企業価値の向上を目指す。TREホールディングスは、同様にリサイクル企業のタケエイ<2151>(東1)とリバーホールディングス<5690>(東2)により持株会社化され、金属有価物、廃家電、使用済み自動車、廃プラスチックから再生エネルギー事業までを幅広くカバーする総合リサイクル企業として運搬・処理能力のシナジー効果が期待される。この3社の統合前の6銘柄は、いずれも株価的に割安な銘柄が多いだけに、ご祝儀相場の盛り上がりも想定範囲内となる。

■社名変更では新報国製鉄、蛇の目などが浮上し分割権利落ちの主力株もマーク

 社名変更銘柄では、新報国製鉄<5542>(JQS)の「新報国マテリアル」、蛇の目ミシン工業<6445>(東1)の「ジャノメ」、藍澤証券<8708>(東1)の「アイザワ証券グループ」への各変更が要マークである。新報国製鉄は、特殊鋼メーカーから半導体関連などの機能性材料メーカーに変身していることが社名変更の理由で、今期業績も2回上方修正され配当も増配予定である。蛇の目は、日本初の国産ミシンメーカーとして創業されて今年10月で100周年となり「第2の創業」アピールし、ミシンのほか産業機械などの業容を拡大しており、かつての仕手株のイメージも払拭される方向にある。藍澤証券は、持株会社化に伴う社名変更だが、国内対面営業拠点を関西地区に積極拡大するとともに、アジア株の売買にも注力して総合金融サービスグループを目指すビジョンが込められている。株式分割の主力株では、TDK<6762>(東1)の1株を3株への分割、トヨタ自動車<7203>(東1)の1株を5株への分割、メニコン<7780>(東1)の1株を2株への分割、グローブライド<7990>(東1)の1株を2株への分割は、権利付き最終日の明28日の権利取り動向や29日の権利落ち状況を見極めマークしたい。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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