IHIはJR東日本と共同開発の高機能化版踏切障害物検知装置の販売を開始

■多数の運用実績による知見を元に安全性,検知機能・能力を大幅に向上

 IHI<7013>(東1)は11月18日、旅客輸送最大手の東日本旅客鉄道(JR東日本)<9020>(東1)と共同開発した高機能化版三次元レーザレーダ式踏切障害物検知装置(3DLR障検)の販売を開始したと発表。

 3DLR障検は、2005年に1号機を納入して以来、日本や欧州など国内外で、累計2400台以上を販売している。これまでに培った知見を元にJR東日本と共同で高機能化版の開発に取り組み、2019年度からJR東日本への展開を進めてきた。

 2021年11月からは、日本全国の鉄道会社へ向けて高機能化版の販売を開始した。

 3DLR障検は、リアルタイムで踏切内を三次元的に監視することが可能な装置。他方式の踏切障害物検知装置と比較して、検知エリアを広くかつ柔軟に設定でき、より小さな物体を検知できるという特長がある。

 高機能化版では、IHI独自のアルゴリズムを用いてソフトウェアを改良することで、さらなる安全性の向上とより正確な検知を可能にした。高齢者や電動車いすユーザーなど、交通弱者が踏切内部に取り残される事故の防止にこれまで以上に役立つ。

■主な開発内容

(1)転倒検知機能
 小動物などによる過剰な検知を抑えるために検知不可となっていたエリアに対し、追跡中の物体について周辺の検知エリアを広げる。

(2)路面凹凸マップ機能
 路面の凹凸に応じた立体的な検知エリアを設定できる機能。斜面・かまぼこ状・すり鉢状など、踏切に凹凸がある場合での検知性能を向上させている。従来の3DLR障検の検知エリアは平面的だったが、高機能化版では3DLR障検自体で測定した3Dデータ(凹凸マップ)を検知エリアとして利用する。

 また、路面変化に合わせて凹凸マップの高さを自動追従する「路面凹凸自動追従機能」についても販売の準備を進めている。これまで積雪地域では、冬季の積雪を物体として検知してしまうことがあった。この機能を利用することで一定の積雪量であれば積雪の検知を防ぎ、転倒検知の利用も可能となる。

(3)ノイズ除去機能強化
 降雪・降雨などの浮遊物の検知を防ぐための機能。これまでのノイズ除去機能を強化することで、従来の小さな物体を検知できるという特長を維持しつつ、降雪・降雨時での過剰な検知を大幅に削減し、さまざまな環境で動作させるための信頼性が向上した。

【三次元レーザレーダ式踏切障害物検知装置】 一定の空間をスキャンしながらレーザ光を照射することで連続的に対象物との距離を計測し、物体の高さやサイズ、移動速度などを検出することができる三次元レーザレーダを用いて、踏切内の障害物の有無を検知するシステム。障害物の存在は列車の運転手にブレーキをかけるための警報として伝えられる。三次元レーザレーダは、カメラなどの他センサと比較して夜間や雨天時などの悪天候でも物体を検知できるという特長をもつ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■東京大学発スタートアップが開発、19自由度のヒューマノイドロボット  東京大学発スタートアップH…
  2. ■売却面積は約1.6倍に、総額1,785億円超の譲渡価額  東京商工リサーチは6月30日、2024…
  3. ■従来の検索では見つけられなかった本との出会いを創出  富士通<6702>(東証プライム)傘下の富…
2025年8月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

ピックアップ記事

  1. ■株主還元強化が市場の安心材料に  東京エレクトロン<8035>は8月1日、2025年3月期の業績…
  2. ■市場の霧が晴れ始めた、個別銘柄の好調が投資家を惹きつける  前週31日の植田和男日銀総裁の記者会…
  3. ■利上げか、現状維持か?日銀総裁の決断で明暗分かれる8月相場  日銀の金融政策を巡る不確実性が続く…
  4. ■選挙惨敗の石破首相に退陣要求、政局混迷の行方  まるで狂言の『乳切木』(ちぎりき)を観るようであ…
  5. ■九州地盤銘柄に割安感、福証単独上場企業にも注目集まる  東京エレクトロンやアドバンテストなどの半…
  6. ■参院選で与党過半数割れ、石破政権の行方不透明に  7月20日投開票の参議院議員選挙は、大手メディ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る