生化学工業は22年3月期3Q累計大幅増収増益、通期予想据え置き

(決算速報)
 生化学工業<4548>(東1、新市場区分プライム)は2月8日の取引時間終了後に22年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。新型コロナ影響からの市場回復、海外医薬品の前倒し出荷、医薬品受託製造の増加、受取ロイヤリティーの大幅増加などで大幅増収増益だった。通期予想は据え置いている。第3四半期累計の各利益は通期予想を超過達成したが、第4四半期に研究開発費の増額を見込んでいる。株価は地合い悪化の影響で昨年来安値圏だが、調整一巡して反発の動きを強めている。好業績を評価して出直りを期待したい。

■22年3月期3Q累計大幅増収増益、通期予想据え置き

 22年3月期第3四半期累計の連結業績(収益認識基準適用で前年も遡及適用、利益への影響なし、受取ロイヤリティーの表示区分を従来の営業外収益から売上高に変更)は、売上高が前年同期比37.0%増の281億45百万円、営業利益が3.8倍の62億34百万円、経常利益が3.3倍の69億05百万円、親会社株主帰属四半期純利益が2.9倍の53億64百万円だった。

 新型コロナ影響からの需要回復、海外医薬品の販売好調と前倒し出荷、医薬品受託製造の増加、受取ロイヤリティーの大幅増加などで大幅増収増益だった。米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験進展などで研究開発費が増加(8.8%増の58億55百万円)したが、増収効果や売上構成変化による原価率低下などで吸収した。

 医薬品事業は売上高が37.4%増の214億20百万円、営業利益が4.9倍の43億81百万円だった。売上高の内訳は、国内医薬品が0.2%減の91億73百万円、海外医薬品が44.6%増の67億43百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が27.2%増の19億52百万円、受取ロイヤリティーが35億50百万円(前年同期は1億96百万円)だった。

 国内は主力の関節機能改善剤アルツが好調に推移し、薬価引き下げの影響を数量増でカバーした。なお関節機能改善剤ジョイクル(21年5月発売)は、ブルーレター発出に伴って出荷期限を迎える製品の売上マイナス計上を第3四半期に実施した。海外は、米国において新型コロナ影響から市場がほぼ回復し、販売提携先による競合品からの切り替え施策も寄与して好調だった。流通リスク回避に向けた前倒し出荷も寄与して大幅増収だった。中国向けも現地販売本数が増加し、第3四半期までに出荷が集中したことも寄与した。医薬品原体・医薬品受託製造は医薬品原体が減少したが、ダルトン社の医薬品受託製造が増加した。

 LAL事業は売上高が35.6%増の67億25百万円で、営業利益が2.5倍の18億52百万円だった。海外子会社においてエンドトキシン測定用試薬、グルカン測定体外診断用医薬品、受託試験サービスが好調だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高117億84百万円で営業利益44億46百万円、第2四半期は売上高87億46百万円で営業利益15億92百万円、第3四半期は売上高76億15百万円で営業利益1億96百万円だった。第1四半期に受取ロイヤリティー35億50百万円を計上した。第3四半期は研究開発費が増加した。

 通期連結業績予想は据え置いて、売上高が21年3月期比16.1%増の322億円、営業利益が2.0倍の45億50百万円、経常利益が53.7%増の46億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が前期の法人税等調整額のマイナス計上の反動で14.4%減の36億50百万円としている。配当予想も据え置いて21年3月期比6円増配の30円(第2四半期末15円、期末15円)としている。

 セグメント別売上高は、医薬品事業が21.0%増の251億50百万円(国内医薬品が1.3%増の116億円、海外医薬品が1.8%増の69億円、医薬品原体・医薬品受託製造が27.3%増の23億50百万円、受取ロイヤリティーが6.0倍の43億円)で、LAL事業が1.6%増の70億50百万円の計画としている。研究開発費は9.6%増の79億円の計画である。

 第3四半期累計の各利益は通期予想を超過達成しているが、第3四半期までにロイヤリティーの受領や海外医薬品の前倒し出荷などの売上増加要因が集中したためであり、第4四半期には、米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験における追加費用の発生で研究開発費の増加を見込み、ブルーレター発出によるジョイクルの販売への影響も考慮している。

■株価は反発の動き

 株価は地合い悪化の影響で昨年来安値圏だが、調整一巡して反発の動きを強めている。好業績を評価して出直りを期待したい。2月8日の終値は964円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS64円83銭で算出)は約15倍、そして時価総額は約548億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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