アールシーコアは反発の動き、受注好調で23年3月期収益改善期待

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 アールシーコア<7837>(JQ、新市場区分スタンダード)は自然材をふんだんに使ったログハウスのオリジナルブランド「BESS」を展開し、成長に向けた新規事業として「走るログ小屋 IMAGO」や分譲地開発「FuMoTo」を推進している。22年3月期はウッドショック(木材価格高騰)などの影響で赤字が拡大する見込みだが、受注が好調であり、原価改善なども寄与して23年3月期の収益改善を期待したい。株価は地合い悪化も影響して昨年来安値圏だが、調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■ログハウスのオリジナルブランド「BESS」を展開

 <「住む」より「楽しむ」>をスローガンとして暮らし文化の創造を目指し、自然材をふんだんに使った個性的な木の家であるログハウスのオリジナルブランド「BESS」の販売を、国内直販部門、連結子会社BESSパートナーズ(BP)社、および国内販社で展開している。

 21年3月期セグメント別(調整前)売上構成比は直販部門が31%、販社部門が33%、BP社が35%、営業利益構成比は直販部門が56%、販社部門が42%、BP社が2%だった。FCを中心とした事業展開で高資本効率を実現している。

 東京都・代官山のBESS スクエア、神奈川・藤沢市のBESS 藤沢、東京都・昭島市のLOGWAY BESS多摩の3ヶ所を直営拠点としている。なお21年4月に東京・代官山のLOGWAY旗艦店を「BESS MAGMA LOGWAY、NIPPON」としてリニューアルオープンした。21年9月には東京・代官山「BESS MAGMA」の文化発信基地としての新たな取り組みで、学生有志と共同で新卒採用向けプロモーションビデオを制作した。

 収益は直販部門とBP社の「BESS」売上、販社からのロイヤリティ収入および販社へのキット部材売上などである。四半期収益は物件引き渡し件数・時期などで変動しやすい特性がある。

■収益構造改革を推進

 新中期経営計画ではスローガンに「曲がり真直ぐ、BESSの道」を掲げている。また重点施策としては、LOGWAY戦略のベストサイクル追求、新時代の暮らし方「梺(ふもと)ぐらし」の本格化、ブランドパートナー型FC制度の確立、長寿企業を目指す収益構造改革を推進している。目標値は23年3月期の売上高200億円、営業利益率5%としている。

 21年3月には、運転資金および設備投資(東京・代官山のBESS本店リニューアル)への充当を目的として、シンジケーション方式によるコミットメントライン契約およびタームローン契約を締結した。

 成長に向けた新規事業として、ログ小屋を車体に乗せた「走るログ小屋 IMAGO」や、分譲地開発「FuMoTo」を推進している。

 21年10月に車輪付きログ小屋商品の可動式トレーラーハウス「走るログ小屋 IMAGO」を発売した。23年3月期に1000台の販売を目指す方針だ。22年1月には福岡県那珂川市と長野県小諸市で、自然を感じながら新たなコミュニティをつくる分譲地「FuMoTo」の住人募集を開始した。22年2月はムラサキスポーツと業務提携し、コラボレーションとして「IMAGO」ムラサキスポーツ特別仕様車を発表した。

■22年3月期赤字拡大予想だが、受注好調で23年3月期収益改善期待

 22年3月期の連結業績予想(収益認識会計基準適用だが損益への影響軽微、木材価格高騰の影響で21年11月12日に利益を下方修正、2月28日に利益を2回目の下方修正)は、売上高が21年3月期比4.5%増の165億円、営業利益が3億70百万円の赤字(21年3月期は2億52百万円の赤字)、経常利益が4億40百万円の赤字(同3億57百万円の赤字)、そして親会社株主帰属当期純利益が4億円の赤字(同5億34百万円の赤字)としている。

 配当予想(21年11月12日に期末10円下方修正、2月28日に期末10円下方修正)は、21年3月期比5円減配の15円(第2四半期末15円、期末0円)としている。

 なお第3四半期累計は、売上高が前年同期比1.0%増の119億77百万円で、営業利益が3億99百万円の赤字(前年同期は3億11百万円の赤字)、経常利益が4億24百万円の赤字(同3億36百万円の赤字)、親会社株主帰属四半期純利益が2億91百万円の赤字(同3億49百万円の赤字)だった。なお収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が18百万円増加、営業損失、経常損失、税金等調整前純損失がそれぞれ7百万円減少している。影響軽微である。

 コロナ過の影響などで小幅増収にとどまり、さらにウッドショック(木材供給不足や相場上昇)なども影響して、営業利益と経常利益の赤字が拡大した。直販部門は売上高(セグメント間取引調整前)が7.2%増の40億07百万円でセグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が5.0%減の3億71百万円、販社部門は売上高が6.1%減の53億15百万円で利益が53.9%減の1億23百万円、BESSパートナーズは売上高が13.8%増の46億10百万円で利益が70百万円の黒字(前年同期は33百万円の赤字)だった。

 ただし営業システム改善効果、21年4月に名称変更してリニューアルオープンした東京・代官山の旗艦店「BESS MAGMA」によるブランド発信強化などで、グループ全体の契約(受注)高は15.7%増の115億26百万円(内訳は直販部門が20.7%増の34億51百万円、販社部門が4.4%減の30億01百万円、BESSパートナーズが27.9%増の50億74百万円)と好調に推移した。全社ベースの期末契約(受注)残高は127億82百万円となった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が38億48百万円で営業利益が89百万円の赤字、第2四半期は売上高が43億75百万円で営業利益が25百万円の黒字、第3四半期は売上高が37億54百万円で営業利益が3億35百万円の赤字だった。

 通期の受注棟数は47%増の1070棟、受注高は27%増の173億円の計画としている。ウッドショック対策としては、契約精度向上などによる早期着工推進で売上回転率向上を目指すほか、材種見直しや調達ルート複数化などによる原価改善、販売価格の改定や対販社(FC)取引条件の改定などを推進する方針だ。22年3月期はウッドショック(木材価格高騰)などの影響で赤字が拡大する見込みだが、受注が好調であり、原価改善なども寄与して23年3月期の収益改善を期待したい。

■株主優待は3月末と9月末の株主対象

 利益配分については、DOE(純資産配当率)を重視した長期的視点での安定配当を行うことを基本とし、当面はDOEを7%程度まで高めることを目標としている。株主優待制度は毎年3月末および9月末時点の株主を対象として実施(詳細は会社HP参照)している。

■株価は反発の動き

 株価は地合い悪化も影響して昨年来安値圏だが、調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。3月29日の終値は727円、今期予想配当利回り(会社予想の15円で算出)は約2.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS682円85銭で算出)は約1.1倍、時価総額は約33億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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