【株式市場特集】決算発表からみえた個別企業の企業業績にフォーカス

 今週の当特集は、前週末12日にピークアウトした決算発表からみえた個別企業の企業業績にフォーカスすることにした。注目は上方修正銘柄で、そのなかでもとくに上方修正にもかかわらず売り物を浴びてギャップダウン、下落する初動反応にとどまった負け組・立ち遅れた銘柄である。買い材料としてギャップアップするはずの上方修正が、売り材料となってギャップダウンした要因は、上方修正業績が市場コンセンサスに未達となったり、すでに株価に織り込み済みとして材料出尽くしと評価されたり、上方修正要因が円安差益のみにとどまって一時的と見限られたり、さらに全般相場の急落とシンクロしてしまったなどさまざまである。

 しかしその立ち遅れ上方修正銘柄になかには、例えばキヤノン<7751>(東証プライム)は、その後、自己株式取得を発表し、三菱総合研究所<3636>(東証プライム)は、同じく持分法適用関連子会社の新規株式公開(IPO)の追加材料が加わってそれぞれ年初来高値を更新するケースも出た。こうしたリカバリーショットがあることからも、投資採算的に割安に放置されているギャップダウン銘柄にはこれから敗者復活戦の2.0(第2弾)相場展開の期待が高まるはずである。前週末12日の取引時間中までに業績上方修正を発表して初動反応が明らかとなった銘柄のなかから、主力株、小型株、バリュー株、グロース株が満遍なく分布するバラエティ豊かなギャップダウン銘柄の決算プレー2.0相場を先取りしたい。

■トヨタのリカバリーショットで日経平均採用の8銘柄にまず脚光

 主力株のなかでも中心になるのは、日経225採用銘柄である。代表は、トヨタ自動車<7203>(東証プライム)で、今年8月4日に今2022年3月期業績の上方修正を発表したが、営業利益は期初予想据え置きとしたことを嫌って株価は2069円まで急落、2000円台で下値を試す動きとなった。それが前週10日に9月のグローバル生産台数を85万台と8月の70万台から増産する計画を発表したことがリカバリーショットとなって、前週末12日は2135円と高値引けで急続伸した。

 同様の業績・株価推移を示した日経225採用銘柄は、コード番号順にあげるとJT<2914>(東証プライム)、AGC<5201>(東証プライム)、住友金属鉱山<5713>(東証プライム)、日立建機<6305>(東証プライム)、ミネベアミツミ<6479>(東証プライム)、日東電工<6988>(東証プライム)、IHI<7013>(東証プライム)とキヤノンとトヨタ自を含め8銘柄を数える。市場平均を下回る低PER・PBR、高配当利回り、さらに自己株式取得なども内包しているだけに、敗者復活戦ではリードオフマンぶりを発揮しよう。

■中小型株の低PERベスト20銘柄は低PBR、高配当利回りでも出色

 中小型株の立ち遅れ上方修正銘柄は、ハイテク関連、景気敏感関連、バイオ関連など多種多様に分布し、上場市場も異なる。これを低PER順にトップ20をセレクトすると、第1位のPER5.5倍の油研工業<6393>(東証スタンダード)以下、東京製鉄<5423>(東証プライム)、アルデプロ<8925>(東証スタンダード)、ナイス<8089>(東証スタンダード)、石原産業<4028>(東証プライム)、ニチレキ<5011>(東証プライム)、OATアグリオ<4979>(東証プライム)、日華化学<4463>(東証プライム)、ローランド ディー.ジー.<6789>(東証プライム)、岡部<5959>(東証プライム)、IーPEX<6640>(東証プライム)、牧野フライス製作所<6135>(東証プライム)、山陽特殊製鋼<5481>(東証プライム)、ソーダニッカ<8158>(東証プライム)、滝澤鉄工所<6121>(東証スタンダード)、三谷商事<8066>(東証スタンダード)、帝国通信工業<6763>(東証プライム)、アルプス物流<9055>(東証プライム)、ワコム<6727>(東証プライム)と続き、20位のワコムのPER評価は12.1倍と市場平均を下回る。

 PBR評価もほとんどが1倍割れで、年間配当利回りも油研工業の5.4%と筆頭に3%~4%とバリエーションを誇っており、株価の押し上げ効果を発揮しよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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