【重複上場の可能性】名証・福証への重複上場が企業にもたらすメリット

【地方市場の活用が地方創生にもつながる可能性】

■株主優待制度の復権

 グローバル市場で「株主への公平性」が求められるなか、日本独自の株主優待制度は不公平として廃止の流れが強まっていた。しかし昨年来、優待制度を新設・拡充した銘柄が急騰する場面も見られ、再び投資家の関心を集めている。実際、一度廃止した企業が制度を復活させるケースも増えており、株主優待が投資家への利益還元策として再評価されているのだ。優待制度は日本市場独自の文化であり、配当政策だけでは捉えきれない個人投資家の支持を集める要素となっている。

■重複上場がもたらす新たな投資機会

 もう一つの注目点は、東証上場企業が名古屋証券取引所や福岡証券取引所へ重複上場する動きである。この背景には、上場基準の違いがある。東証の基準に適合しない企業が、比較的緩やかな基準を持つ地方市場に上場し、東証で上場廃止になった場合のリスクヘッジとするケースがある。揚羽<9330>(東証グロース)はその一例であり、東証での上場維持が危ぶまれるなか、名証への重複上場を申請。さらに、株主優待制度の変更も発表し、投資家の関心を集めた。

■地方市場が生むビジネスチャンス

 企業が地方市場へ重複上場する目的は、単なるリスク回避だけではない。名証や福証を活用することで、新たな投資家層へのアプローチが可能となるのだ。特に地方市場では個人投資家の割合が高く、知名度の向上や地域経済への貢献にもつながる。こうした動きは、地方市場の活性化に寄与し、地方創生の一助となる可能性も秘めている。今後、企業にとっても投資家にとっても、新たな戦略の一つとして重複上場がさらに注目されることになるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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