【どう見るこの相場】「休むも相場」が市場センチメントだが低ベータ値銘柄で自分流のリスク最小化も第二選択肢

 財務省・日本銀行による為替介入も、英国のイングランド銀行による国債の無制限買い入れも、賞味期間は、たった1日と超短期に終わったようである。1ドル=145円台まで円安・ドル高となった為替相場は、円買い介入により140円台まで円安にフレたものの、足元では144円台まで円安と売り直され再び防衛ラインの145円台目前である。一時3.99%高まで売られた米国の10年物国債利回りも、イングランド銀行に敬意を表して3.69%まで買い戻されたのも束の間、前週末30日は3.82%と売り直された。

 内外の金融当局者は、為替や金利を乱高下させる投機筋を蛇蝎の如く忌み嫌うが、こうなるとあの1992年のイギリス政府のポンド防衛策に空売りを仕掛け、ユーロ導入を断念させ「イングランド銀行を潰した男」の異名を奉られた著名投資家ジョージ・ソロスが思い起される。為替防衛策にしろ金利下支え策にしろ、当局者の政策が真逆になっているファンダメンタルズの隙を衝かれれば実効性を上げる難しさを示唆しているともいえそうだ。

 株式市場も、日経平均株価が、2万6000円台割れから始まる10月相場は、6月安値と並んでダブルボトムを形成して落ち着くのか、それとも3月の年初来安値を窺う底割れ相場となるのか見極めるのが難しい厳しい立ち上がりとなりそうだ。「休むも相場」が優先する市場センチメントは否定できず、もう遅いかもしれないがキャッシュ・ポジシヨンを高めて「ウエイト・アンド・シー」である。ではいつまで待機か?きょう3日に召集される臨時国会で、岸田内閣が、与党が手ぐすねを引いて追及しようとしている国葬問題と旧統一教会問題を何とか乗り切り、経済対策を盛り込んだ今年度第2次補正予算案を提出する10月末か?それとも米国の中間選挙の投票日の11月8日がエポックとなるのか?さまざまなケースが想定されるが、足元ではリスク回避が最優先されるというところだろう。

 今週の当特集は、この「休むも相場」の第一案の一方で、リスクを最小化する投資スタンスへチャレンジする第二の選択肢として提案することとした。市場全般のインデックス(株価指数)と連動性を示すベータ値で低いベータ値を示している業種や銘柄への一時避難である。低ベータ値銘柄は、インデックスの急落するほど個々の株価の値動きは激しくなく下値抵抗力が強いことを示している。もちろん仮にインデックスが急騰したケースでは、低ベータ値銘柄の反発は限定的で高ベータ値銘柄に買い敗ける可能性もある。しかし、この10月相場は、取り敢えず下値耐性が高いことが優先され、低ベータ値業種・銘柄が相対優位性を発揮することになるはずだ。

 低ベータ値業種・銘柄には医薬品、食品、小売りなどのディフェンシブ株が多く、具体的なランンキングは日本経済新聞が計算・集計(推計期間3年)しており、この上位銘柄にはベータ値がマイナスで、インデックスとは逆相関し相場全般の下落時に逆に上昇する銘柄もランクされている。同ランキングから業績動向、投資採算的に割安となる銘柄を自分流にピックアップすると、景気遅行性のある倉庫株のほかマイナスベータ値の多い食品株、新型コロナウイルス感染症の「ウイズ・コロナ」関連株などが候補株として浮上することになり、広く網を張って対処して「休むも相場」の次に備えたい。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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