星光PMCは22年12月期減益着地、23年12月期は増収・営業増益予想

(決算速報)
 星光PMC<4963>(東証プライム)は2月13日に22年12月期連結業績を発表した。差別化製品の市場投入などで増収だが、原材料価格高騰や成長投資費用増加などで減益だった。計画をやや下回って着地した。23年12月期は、原材料価格高騰に対して遅れていた製品価格への転嫁が進展して、増収・営業増益通期予想としている。収益拡大を期待したい。株価は反発力が鈍く昨年来安値圏だが大きく下押すことなく推移して下値固め完了感を強めている。決算発表に対してややネガティブ反応となったが売り一巡して出直りを期待したい。

■22年12月期減益着地、23年12月期は増収・営業増益予想

 22年12月期連結業績(収益認識会計基準適用だが影響軽微)は売上高が21年12月期比4.5%増の324億18百万円、営業利益が34.3%減の18億84百万円、経常利益が23.7%減の23億94百万円、親会社株主帰属当期純利益が20.9%減の16億47百万円だった。

 差別化製品の市場投入効果などで増収だが、原材料価格高騰や成長投資費用増加などの影響で減益だった。営業外収益では、海外子会社へのグループ内貸付金に対する評価替えによる為替差益が増加(前期は1億54百万円計上、今期は3億12百万円計上)した。特別利益では補助金収入1億04百万円を計上し、特別損失では固定資産圧縮損1億04百万円を計上した。

 製紙用薬品事業は売上高が14.1%増の200億33百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が30.6%減の8億28百万円だった。国内外における差別化商品の拡販や国内板紙・衛生用紙向けの拡販などで増収だが、原材料価格高騰の影響で減益だった。樹脂事業は売上高が14.8%減の68億88百万円で、セグメント利益が56.0%減の3億53百万円だった。中国の景気減速に伴う粘着剤の販売数量減少で減収減益だった。化成品事業は売上高が1.9%増の54億97百万円で、セグメント利益が20.5%減の10億43百万円だった。主力製品の輸出数量増加などで増収だが、原材料価格高騰の影響で減益だった。

 四半期別に見ると、第1四半期売上高が75億30百万円、営業利益が5億81百万円、経常利益が8億49百万円、第2四半期は売上高が84億08百万円、営業利益が5億39百万円、経常利益が8億96百万円、第3四半期は売上高が82億24百万円、営業利益が4億70百万円、経常利益が6億44百万円、第4四半期は売上高が82億56百万円、営業利益が2億94百万円、経常利益が5百万円だった。

 23年12月期の連結業績予想は、売上高が22年12月期比8.8%増の352億80百万円、営業利益が6.7%増の20億10百万円、経常利益が9.8%減の21億60百万円、親会社株主帰属当期純利益が5.9%減の15億50百万円としている。配当予想は22年12月期と同額の16円(第2四半期末8円、期末8円)としている。

 差別化製品の市場投入を積極推進し、原材料価格高騰に対して遅れていた製品価格への転嫁が進展して、増収・営業増益通期予想としている。EBITDA(営業利益+減価償却費)については18.4%増の39億30百万円の計画で、過去最高だった21年12月期の41億59百万円に近い水準まで回復する見込みとしている。経常利益と親会社株主帰属当期純利益については為替差益等を見込まず減益予想としている。

 製紙用薬品事業の計画は、売上高が9.1%増の218億50百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が47.3%増の12億20百万円、EBITDAが29.6%増の21億20百万円としている。差別化製品拡販と価格転嫁効果に加えて、前期後半に本格稼働したベトナム子会社が1年を通じて安定稼働することも寄与する見込みだ。

 樹脂事業の計画は、売上高が10.5%増の76億10百万円、セグメント利益が30.1%増の4億60百万円、EBITDAが22.0%増の8億70百万円としている。製品価格への転嫁に加えて、中国を中心とする粘着剤の拡販、水性インキ用樹脂ラインナップ拡充やUV硬化型粘着剤拡販など製品ポートフォリオ転換を推進する。

 化成品事業の計画は、売上高が5.9%増の58億20百万円、セグメント利益が32.0%減の7億10百万円、EBITDAが0.7%増の12億70百万円としている。生産性改善を目的とした大型設備投資に伴う減価償却費の増加が一時的な減益要因となるが、機能性モノマーの拡販や製品価格への転嫁を推進する。

 23年12月期は、原材料価格高騰に対して遅れていた製品価格への転嫁が進展して、増収・営業増益通期予想としている。収益拡大を期待したい。

■株価は下値固め完了

 株価は発力が鈍く昨年来安値圏だが大きく下押すことなく推移して下値固め完了感を強めている。決算発表に対してややネガティブ反応となったが売り一巡して出直りを期待したい。2月14日の終値は540円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS51円12銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の16円で算出)は約3.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1015円10銭で算出)は約0.5倍、そして時価総額は約164億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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