宇宙飛行士のコストを8割削減!日揮がロボットスタートアップGITAIに資金提供

■日揮がエンジニアリング力とノウハウを提供

 日揮ホールディングス<1963>(東証プライム)は5月25日、日揮と共同で運営するコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)ファンド「JGC MIRAI Innovation Fund」を通じ、宇宙用作業ロボットの研究開発・製造を行うスタートアップ、GITAI Japan(GITAI)への出資を行ったと発表。

 近年の世界各国における宇宙開発ビジネスの活発化に伴い、宇宙空間における作業需要は将来拡大していく見込みである。しかしながら、宇宙放射線の影響を考慮すると宇宙飛行士が連続で滞在できる時間数には限りがあるため、宇宙での長期的な活動のためには複数回ロケットで宇宙飛行士を往還させる必要がある。1人1時間あたり5万ドルにのぼるという宇宙飛行士のコストの8割は宇宙との往復費用が占めるといわれており、宇宙開発における障壁となってきた。

 今般、日揮グループがCVCファンドを通じて出資するGITAIは、宇宙ステーションや地球軌道、月面・火星等、宇宙向け汎用作業ロボットの研究開発と、宇宙空間でのロボットによる労働力提供を目指す日本発のスタートアップ企業である。

 軌道上サービスとしてスペースデブリ(宇宙ゴミ)除去、人工衛星用作業や月面ロボットローバーのロボットアーム等を開発しており、ロボットアーム・ハンドやマルチモーダルハプティックス(高度な触覚フィードバック)技術の要素技術を含むハードウェアや自律・遠隔のハイブリット制御を実現するソフトウェアを内製できる高い統合開発能力を持っているほか、NASAの厳しい安全審査をクリアできる知見も有している。

 GITAIが開発するロボットにより、宇宙における汎用的な作業を宇宙飛行士からロボットに代替させていくことで、労働力の確保、作業効率の向上、低コスト化により、宇宙開発の速度が飛躍的に高まる事が期待される。

 日揮グループは、CVCファンドを通じて「カーボンニュートラルの実現」、「持続可能で強靭なインフラの構築」、「人生100年時代を見据えた生活の質向上」、「産業のスマート化」を対象テーマに、安全・安心で持続可能な社会システムの構築に寄与する革新的な技術やビジネスモデルを有する国内外のスタートアップに対し投資を行っている。

 同出資を通じて日揮は、当社が培ってきたエンジニアリング技術力および事業運営の知見・ノウハウとGITAIが有するロボット及びおよび自律・遠隔制御技術の豊富な知見や革新的な事業アイデアを融合することで、省人化、自動化を想定した次世代のプラント設計への応用や新たな事業分野の創出を目指していく。

 同出資を通じて日揮グループは今後も、安全・安心で持続可能な社会システムの構築に向けて革新的な技術やビジネスモデルを有するスタートアップへの投資を行っていくとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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