加賀電子は24年3月期2Q累計減益だが社内計画を上回る水準で着地、進捗率順調で通期上振れ余地

(決算速報)
加賀電子<8154>(東証プライム)は11月8日の取引時間終了後に24年3月期第2四半期累計連結業績を発表した。電子部品事業における前期のスポット需要の反動や顧客の在庫調整などの影響で減収減益だった。ただし社内計画を大幅に上回る水準で着地した。通期は一時的な需要減退により減収減益予想としている。不透明感を考慮して通期予想を据え置いているが、第2四半期累計の進捗率が順調であることなどを勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。株価は9月の上場来高値圏から反落し、その後は地合い悪化も影響して上値を切り下げる形となったが、指標面の割安感も評価材料であり、利益確定売りが一巡して戻りを試す展開を期待したい。

■24年3月期2Q累計減益だが社内計画を上回る水準で着地

11月8日に発表した24年3月期第2四半期累計(4月~9月)の連結業績は、売上高が前年同期比7.9%減の2750億44百万円、営業利益が24.4%減の138億76百万円、経常利益が26.3%減の139億45百万円、親会社株主帰属四半期純利益が15.0%減の114億04百万円だった。

電子部品事業における前期のスポット需要の反動、顧客の在庫調整、第1四半期に計上した特定取引先の民事再生申請に伴う貸倒引当などの影響で減収減益だった。ただし社内計画を大幅に上回る水準(売上高は約150億円、営業利益は約38億円、それぞれ上振れ)で着地した。なお営業外では為替差損益が悪化(前年同期は為替差益3億59百万円、当期は為替差損2億91百万円)した。特別利益には投資有価証券売却益10億74百万円、負ののれん発生益4億81百万円、関係会社清算益4億80百万円を計上した。

営業利益の前年比44億85百万円減益の要因分析は、販売数量・販売ミックスで▲12億47百万円、スポット販売解消で▲35億92百万円、販管費で+3億54百万円、為替影響(ネット)で+1億94百万円だった。また、営業利益の社内計画(100億円)比38億76百万円上振れの要因分析は、販売数量・販売ミックスで+31億61百万円、スポット販売解消で+0百万円、販管費で+7億15百万円、為替影響(ネット)で72百万円だった。

電子部品事業は売上高が9.6%減の2425億64百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が29.1%減の117億85百万円だった。減収減益だった。部品販売ビジネスでは前期のスポット需要解消、顧客全般における在庫調整顕在化、貸倒引当、EMSビジネスでは医療機器・産業機器関連の顧客における在庫調整顕在化などが影響した。

情報機器事業は売上高が5.7%増の207億15百万円、利益が32.7%増の12億80百万円だった。教育機関向けパソコン販売が好調に推移し、LED設置ビジネスの大口案件も寄与した。

ソフトウェア事業は売上高が6.3%減の12億25百万円で利益が18.2%増の1億12百万円、その他事業(エレクトロニクス機器修理・サポート、アミューズメント機器製造・販売、スポーツ用品販売など)は売上高が12.2%増の105億39百万円で利益が5.3%減の6億23百万円だった。

なお会社別の営業利益(連結調整前)は加賀電子が13.6%減の105億68百万円、加賀EFIが53.5%減の24億22百万円、エクセルが0.1%減の8億65百万円で、中計セグメント別の営業利益(連結調整前)は電子部品が31.5%減の80億02百万円、EMSが22.0%減の41億43百万円、CSI(コンシューマー&システムインテグレーター)が32.7%増の12億80百万円、その他が1.6%増の3億75百万円だった。

四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1376億94百万円で営業利益が69億94百万円、第2四半期は売上高が1373億50百万円で営業利益が68億82百万円だった。

通期連結業績予想は据え置いて、売上高が23年3月期比9.5%減の5500億円、営業利益が22.5%減の250億円、経常利益が23.6%減の250億円、親会社株主帰属当期純利益が22.0%減の180億円としている。配当予想は23年3月期と同額の220円(第2四半期末110円、期末110円)としている。普通配当ベースでは増配の形となる。予想配当性向は32.1%である。

一時的な需要減退により減収減益予想としている。営業利益72億49百万円減益の要因分析は、販売数量・販売ミックスで▲52億05百万円、スポット販売解消で▲43億09百万円、販管費減少で+22億65百万円、為替影響で±0百万円の見込みとしている。

セグメント別の計画は、電子部品事業の売上高が12.6%減の4715億円で利益(全社費用等調整前営業利益)が26.9%減の207億円、情報機器事業の売上高が3.0%増の450億円で利益が2.1%増の25億円、ソフトウェア事業の売上高が50.1%増の45億円で利益が4.6%増の3億円、その他事業の売上高が31.6%増の290億円で利益が36.1%増の15億円としている。

ただし第2四半期累計の進捗率は売上高50.0%、営業利益55.5%、経常利益55.8%、親会社株主帰属当期純利益63.4%と順調だった。不透明感を考慮して通期会社予想を据え置いているが、第2四半期累計の進捗率が順調であることなどを勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。また中期経営計画最終年度25年3月期の営業利益目標を、従来の「200億円」から「300億円以上」に大幅に引き上げている。24年3月期は一時的な需要減退の影響を受けるが、25年3月期は成長軌道に回帰するシナリオだ。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。

■株価は戻り試す

株価は9月の上場来高値圏から利益確定売りで反落し、その後は地合い悪化も影響して上値を切り下げる形となったが、指標面の割安感も評価材料であり、利益確定売りが一巡して戻りを試す展開を期待したい。11月8日の終値は6050円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS685円42銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の220円で算出)は約3.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4935円36銭で算出)は約1.2倍、時価総額は約1736億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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